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チガサキゴトよ、チーガ

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菜良

中海岸

手に入れた手動の製麺機がたまたま太かった。
マッチするスープに辿り着くまでの試行錯誤

烏帽子岩をイメージした、えぼし麺750円。もやしは心持ち太めでシャキシャキ感抜群。スープで煮て、脂を抜いて、醤油で風味づけしたチャーシューは、とろけるような甘さと舌触り。途中で一味やお酢で味変するのもおすすめ。「野菜増し」「ニンニク」「アブラ(背脂)」「タレ」を無料でトッピングできる。写真はトッピングがない状態。

 山と盛られたどっさり野菜に、しっとりジューシーな分厚いチャーシュー。テンションがググッと上がる見た目だが、ここで驚くのはまだ早い。トッピング下の汁から顔を出すのは、何とうどん級の極太麺! ラーメンの固定概念をぶっ壊す、菜良の一番人気「えぼし麺」主役の登場である。

 このオリジナリティ溢れる麺を作り出すに至ったきっかけは「たまたま手動の製麺機があったから」。

 「あえて太い麺を作ろうと思ったわけじゃなく、手に入れた製麺機が偶然太かったんです。かんすいの調整もスープの味も、この麺に合わせて作りました」

と語るのは店主の北内昭さん。自動製麺機に切り替えたこともあったが、機械では圧が強く、麺中に空気が入らない。かたや手動だとわずかに空気が入り、ここに汁が染み込み自然と麺とスープが混ざり合うことになる。味がガッツリ染みたもっちもちの麺が楽しめるのは、北内さんの腕とアナログな手回し製麺機のおかげなのだ。

 ちなみに、えぼし麺のスープはとんこつ醤油。味が主張し過ぎればしつこくなり、薄味では麺に負けてしまうため、この太い麺にマッチするスープに辿り着くには相当試行錯誤したのだそうだ。

かんすい少なめで手打ち後1日置くため、麺はラーメンらしからぬ褐色。これが茹でると1.5倍以上に膨らむ

まろやかな味わいの秘密は、まさかの食材。
オリジナル過ぎる「あえそば」

あえそば850円。麺は低加水の太麺のため、ツルツル食べるというよりは、しっかり噛み締めて食べるモチモチタイプ。胡椒、卵、チーズが効いているせいか、どこかしらカルボナーラを彷彿とさせるお味

 

 続いて紹介するのが汁なしの「あえそば」。野菜、豚肉、粗挽き黒胡椒に揚げニンニク、そして卵がトッピングされたボリューム抜群の一品だが、味わいは塩分控えめでむしろ優しめ。このまろやかな風味は、一体何?

 「チーズですね。器の底にチーズを置いて、その上に麺と具材を載せると、熱でチーズが溶けて、ちょうどいい具合に混ざるんです」

 あえそばにチーズとは珍しい組み合わせだが、これも北内さんの試行錯誤の賜物だ。「この太麺ならチーズを入れても他の具材と喧嘩しない」と踏んで投入したかと思えば、まろやかさを崩すために黒胡椒を爆入れし、さらに甘味を出すために野菜や卵を上乗せする。あれこれ試して出来上がったオリジナル過ぎるあえそばなのだ。

 えぼし麺もあえそばも、いわば太麺あればこそのメニューだが、太麺は湿度や温度で硬さが変わりやすいため、始めのうち扱いは困難を極めた。今でこそうまく調整できるようになったが、思い通りに扱えるにはなんと7、8年もかかったというから驚きだ。

文教大の留学生に暖簾分けした「台湾 菜良」。
円蔵に姉妹店「麺良(めら)」もオープン

 

 

 茅ヶ崎に店を構えて20年、ラーメン店となって14年になるが、北内さんはもともと東京出身。飲食店をやりたいと思い立ち、妻の直子さんが小学校までを過ごした茅ヶ崎にやってきた。

 現在の場所に店をオープンし、居酒屋、串揚げと料理に腕を振るったが、常連さんとの談義を経て、ラーメン店を始めることを決意。手探りで始めたメニュー開発は失敗の連続だったが、やがて花開き、県外からも食べにくる人気店に成長。

 令和元年には文教大でアルバイトをしていた留学生に暖簾分けした。出店地はなんと台湾の高雄。オープン時は北内さんも手伝いに駆けつけた。

 昨年は、円蔵に姉妹店の「麺良(めら)」もオープンした。こちらも試行錯誤を繰り返しまた違う味を目指すとのこと。

北内夫妻の育てた「菜良」の味が今後どう成長していくのか期待が広がる。


INFORMATION

菜良(さら)

住所 神奈川県茅ヶ崎市中海岸1-1-66
駐車場 Pなし
TEL なし 
営業時間 ランチ:11:30~14:30 / ディナー(水・木・金のみ):18:00~20:00
定休日 月・火休
URL twitter

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