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茅ヶ崎の北部丘陵里山環境に住むマニアックないきもの図鑑 file.28

キアゲハ
DATA :本全国で見られる大型のチョウ。前翅長40〜65mm。蛹で越冬し、春に羽化する(以降、秋までに2〜4回、世代交代)。春に羽化した成虫は黄色味が強く、やや小型で春型と呼ばれている。夏型は大型になり、黒っぽい。
⌘ 赤い花が好きなキアゲハ
キアゲハは様々な花に訪花して吸蜜します。特に赤い花によく集まります。春にはツツジの仲間やアザミ類、秋にはヒガンバナの花にも集まるので土手や畦なども観察ポイントです。
⌘ 幼虫はニンジンや野草の葉が大好き
〈file.5〉で扱ったモンシロチョウの幼虫は、人が栽培するキャベツなどの野菜に依存していました。キアゲハの幼虫はニンジンの葉を食べることからニンジン生産者からは「害虫」とされています。「セリ科の野菜」であればミツバ、アシタバ、パセリ、セロリなども食草、また、ミカンの仲間の木の葉を利用することもあるようです。
モンシロチョウとの違いでいうと、キアゲハはセリ科植物の葉など「野草」も食べるということ。セリ科植物は平地から高山まで自生しているので、適応能力が非常に高い虫といえます。
⌘ 我が家にキアゲハがやって来た
趣味でプランターに種子を蒔いて育てていますが、特にキアゲハはイタリアンパセリが大好物のようです。食べごろサイズになってくるとキアゲハがやって来て産卵していきます。孵化した幼虫は大食漢で、みるみる葉がなくなっていき「丸坊主」になることも度々ありました。
現在(記事を書いている1月中旬)、ブロック塀や植木鉢など、さまざまな場所に蛹が見られます。春になったら、たくさんのキアゲハが羽化してくると思います。

小山茂樹 koyama shigeki
1972年生まれ、茅ヶ崎市勤務。県内絶滅種のヤマトオサムシダマシを2009年に茅ヶ崎市内にて再発見し、累代飼育方法を確立した。『月刊むし』『昆虫フィールド』など専門誌に不定期に執筆。

水彩画 / 河野祐子 kono yuko instagram@yukochigasaki