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茅ヶ崎の北部丘陵里山環境に住むマニアックないきもの図鑑 file.32

マツムシとススキ
DATA : 本州、四国、九州、南西諸島に分布。体長18〜21mm。成虫は8〜11月にかけて見られる。茅ヶ崎市では北部丘陵、相模川や小出川などの河川敷の草原を中心に広く生息する。
⌘ チンチロリン♪
マツムシを特徴づけているのは、その「鳴き声」。
「チン、チロリン♪ チン、チロリン♪ 」と独特なリズムで鳴きます。
童謡「虫のこえ」を歌った世代の私には、馴染み深いものです。 しかし、この情報が無いままマツムシの声を聞くとこのようには聞こえないらしいことが最近わかりました。
確かに冷静に聴いてみると……「チッ…チリリッ…、チッ…チリリッ…」と聞こえてきます。チンチロリン♪と聞こえたのは歌による摺り込み効果が影響してるのかもしれませんね。
また秋が深まり気温が下がるにつれて声のリズムはゆっくりになり、「チン、チロリン♪」という音に近づいていく気がします。あくまでも私感です。感じ方は人それぞれだと思います。
⌘ マツムシはどこにいる?
マツムシは背丈の高いススキなどを中心とした、土壌が乾いた草原を主な住処にしています。茅ヶ崎市近辺では相模川の河川敷が鳴く虫の多産地として知られており、マツムシも多く生息しています。土手の上部に位置する高さのある草原が好条件です。
探し方は、夕刻に土手沿いを歩いていきます。自転車でも良いです。かなりの音量で鳴くので、少し気をつけていれば聴き逃すことはありません。単独ではなく、輪唱の盛大な状態で出くわすのが大半です。
また、街中であっても少し広い草地などで鳴いていることがよくあります。海岸近くなどにもいます。
今年の秋はぜひ、マツムシの味わい深い音色を楽しんでください。11月くらいまで充分にチャンスがあります。

小山茂樹 koyama shigeki
1972年生まれ、茅ヶ崎市勤務。県内絶滅種のヤマトオサムシダマシを2009年に茅ヶ崎市内にて再発見し、累代飼育方法を確立した。『月刊むし』『昆虫フィールド』など専門誌に不定期に執筆。

水彩画 / 河野祐子 kono yuko instagram@yukochigasaki