知らなかった茅ヶ崎をもっと知り、もっと好きになり、
もっと楽しめる!茅ヶ崎を知り尽くす情報サイト

チガサキゴトよ、チーガ

  • facebook
  • instagram
  • twitter

チガサキゴトよ、チーガ

LIFESTYLE

NEW

独立系書店のじぶんを生きるための 読書案内 file.01

『ほんとうは、どうしたい?』
1,540円(税込)
著:佐々木ののか、しいねはるか
出版:地下BOOKS(自費出版レーベル)

「どうして本屋をやることにしたのか」と聞かれると、「昔から本が好きだったので」と答えるようにしている。たいていの場合、納得したようなしていないような、どちらともつかない表情を見届けて会話が終わる。それもそうだ、本が好きだからといってみんながみんな本屋になるわけではない。そこにはもっと特別な何かがあるはずだ、と思うのが普通だろう。

  『ほんとうは、どうしたい?』は、文筆家の佐々木ののかさんと整体をベースに活動するしいねはるかさんによる往復書簡。そこに、こんな一文がある。

《わたしが欲しかったもの、全身全霊を賭けて、夢破れて心身も壊したものは、普通に生きること、普通に働くことでした。》 「これは私のことだ」と思える作品との出会いはかけがえのないものだが、この本との出会いは間違いなく私にとってのそれである。私もずっと、「普通」になるための努力を続けてきた。約6年間で3つの職場を経験した。「こっちじゃないのにな」という違和感を抱えながら、かといってどこに向かいたいかもわからず、プライベートでの出来事も重なり、ある日心身のバランスを崩した。

 こんな一文もある。

《こうすればこうなるというマニュアルにはない、自分の中だけにあるような裏付けのない感覚が「ほんとうの望み」の種でもあるのかもしれません。》

 「普通」に夢破れ、何もできない日々の中で少しずつ感じ取れるようになった自分自身の声。ジャッジせずその声に耳を澄まし続けていたらここまで来ていた、というと感覚的すぎるだろうか。

 「ほんとう」かどうかは自分にしかわからないし、日々移り変わってもいく。この本を目にするたび、自分自身に問いかけている。

吉田悠希 / CRAYD BOOKS & COFFEE

Yuki Yoshida/1994年生まれ。会社員や教職員を経験後、2026年に書店を開業。13歳で重松清の『きよしこ』に出会い読書好きに。特技はオセロと黄昏れること。

RELATED ARTICLES関連記事