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和菜 善や
中海岸
冬の滋味をコースでね、
(もう!)師走になりました。今回はお正月を挟む号なので「和食」にしてみました。それもちょっとよそいきな「コース料理」を3つ紹介します。
「ちーがさんぽ」は、ちょっといつもと毛色が違います。お正月を意識して「相州小出の七福神巡り2023」を扱ってみました。取材をした小出の有志の方々がエネルギッシュかつ、楽しそうにしていらっしゃるのがとても印象的でした。
最近思うのは、人って住んでいるところからどのくらいの距離を行き来しているのだろう、ということ。茅ヶ崎に住んでいても、寒川に近かったり、平塚に近かったり、藤沢に近かったりすれば、おのずとその地域も行動範囲になってきます。道には線が引いてあるわけじゃないし、これからは茅ヶ崎の近隣地域にも範囲を広げていこうかなと考えているところです。
チーガはこの19号で、なんとか4年目に入ったようです。これからもどうぞご贔屓に〜
料理で使うのはすべて一番出汁。
本格的な関西割烹をおまかせコースで
茅ヶ崎駅から南側へ歩くこと徒歩5分。サザン通り商店街の一角に、料亭の風情漂う日本料理の店がある。その名は「和菜 善や」。お酒と京風料理が堪能できる、しっとりとした佇まいのお店だが敷居は意外と高くなく、のれんをくぐると、気さくな店主が暖かい笑顔で出迎えてくれる。昼も夜も予約が基本だが、ふらりと立ち寄って、店主お勧めの旬菜を楽しむこともできる。
今回ご紹介するのは8,030円のコース。先付けで出された「甘鯛の湯葉蒸し」は、なめらかな湯葉にわさびがピリリときいた雅な一品。湯葉にからむとろりとして上品なあんを口に含めば、出汁の奏でる奥深い味わいを感じずにはいられない。
「使うのは、すべて昆布やカツオで引く一番出汁です。透明感があって雑味が少なく、味が濃いのが特徴です」
と教えてくれたのは、店主の善養司謙司さん。高校を出てすぐ魯山人の作った星岡茶寮の銀座店「銀茶寮」で腕を磨き、関西割烹の料理人として活躍する傍ら、茶懐石にも腕を振るった経験を持つ。
「見た目の賑やかさを大切にする割烹に対し、茶懐石はシンプルで、引き算の美学。料理人として、そんな陰陽の妙にどっぷりハマりましたね」
「茶懐石のおもてなし」と「割烹の華やかさ」、
オリジナルスタイルの盛り込み料理
茶懐石は、素材本来の持ち味や季節感を生かし、心を込めてお客をもてなす料理だが、善やの料理にももちろんそんな茶懐石の心が息づいている。例えば、数々の品が並ぶ盛り込み料理。
季節感にあふれ彩り鮮やかで、運ばれてくるや心が華やぐこと間違いない。茶懐石に込められたおもてなしの心と、見せ方にも工夫を凝らす割烹の盛り付け。善やの料理はありそうで滅多にない、茶懐石と割烹のいいとこどりのオリジナルスタイルなのだ。
「色目の美しさや豪華さは、お客様をもてなすのに欠かせない要素です。茶懐石にこだわりすぎてしまうと料理に華がなくなるので、そこはバランスを考えて材料や盛り付けをしています」
このコースでは、これにお造り、肉料理、揚げ物(か炊き合わせ)、炊き込みご飯(や土鍋ご飯)と続く。本日出していただいたご飯は、前ページに掲載された柚子雑炊。絶品の一番出汁に鯛の焼きほぐしを入れ、そこに柚子を丸ごとドーン。柚子の香りを楽しめる「ある仕掛け」が施されているが、それは食べてみてのお楽しみ、である。
お客の一言で目から鱗。
ご縁で育まれた「妥協しない」美味
茅ヶ崎で生まれ育った善養司さんが善やを構えたのは10年前。今では地元だけでなく、藤沢や平塚からも常連客が訪れる人気店に成長したが、開店当時はなかなかお客が集まらず、割烹から安価な赤提灯や居酒屋に路線変更することも考えた。でも、とあるお客の一言で、善養司さんは思い止まったのだそう。
「『自分が何をやりたいかを考えればいい』と言われたんです。眼から鱗でしたね。その言葉で腹を括ってやり始めたら、だんだんお客様に来ていただけるようになったんですよ」
お客様だけでなく、善やは地元とのご縁も大切にする。これからは脂の乗る紅葉鯛が旬を迎えるが、仕入れ元は茅ヶ崎釣船屋の一俊丸。「つながり」がもたらす冬の美味を、善やの和菜でいただいてはどうだろうか。
INFORMATION
和菜 善や(ぜんや)
住所 | 中海岸1-1-53 サンシャインビル101 |
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駐車場 | Pなし |
TEL | 0467-86-7015 |
営業時間 | ◎ 昼夜ともに予約をお願いします ランチ:12:00〜14:30(L.O.14:00)・2,860円〜 ディナー:17:30〜22:00(L.O.21:00)・6,930円〜 ★お節料理のご予約承り中 |
定休日 | 月曜休 |
URL | 和菜善やinstagram |