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赤羽根山から藍を叫ぶ
ちがさき藍プロジェクト
せっかく農家になったんだもの、憧れの藍と丁寧につきあってみよう。タネから茶葉、染めまで、自分の手を通してじっくり味わう企みです。
第五話
巡藍冬物語

なんかお菓子かビールの銘柄みたいだな(笑)藍を巡る一年も冬を迎え、新たなスタートに余念がない。先日は刈り取って干してあった穂先からタネを採取した。こうして毎年タネをつないでいると「タネはいのちの源」という自然本来の姿が体を通して心に響いてくる。だって普段の生活でタネ捨ててません? 料理のレシピにも「タネは取り除く」から始まって最初に捨てられる運命だもんねタネって。
一方、藍染めの原料になる蒅はいよいよ発酵の終盤。アツアツの「熱藍期」を過ぎて静かな眠りに入っています。完成は2月の末あたりかな。
タネまきから蒅の完成までちょうど1年。そもそもこのプロジェクトを立ち上げたのも、藍の一生を通して畑の四季を楽しんでもらうというコンセプトを実現するためだったけれど、初年度のドタバタに広い心でおつきあいくださったメンバーの方々には感謝に堪えないです。
そのお礼と藍からのごほうびは何と言っても正真正銘自分たちで一から育て仕上げる藍染めに決まってる。蒅が順調に仕上がり、染めの準備が整うのは早くて4月なので、その感動報告は少し先のお楽しみということで。
藍染めをどこかでさせてもらった人は結構いるはず。でもタネまきから染めまでの全工程を体験した人はそんなにいないんじゃないかな。それだけにきっと愛おしさも格別だと思う。
愛おしさといえば藍も野菜も一緒ですよ。出来合いを買うばかりでなくぜひ少しでもいいから自分で作って食べてみてください、間違いなくそれが世界一の味だから。うちの野菜は二番目でいいです(笑)

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吉野正人 Yoshino Masato
茅ケ崎どっこいファーム主宰。教員生活を経て2018年より就農。赤羽根の自然の循環の中でオーガニック野菜を手がける一方、「おいしいと楽しいをつなげたい」をモットーに「農あるくらし」について様々なライフスタイルを提言。