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川廷昌弘さんと語り合う チガサキのたくらみごと

“きれいごと”で茅ヶ崎はもっと面白くなる!?
かわていさんと語り合うチガサキのたくらみごと

vol.20 BENIRINGO
田中藍奈さん   ・  阿部汐里さん 

写真左から、阿部汐里さん、かわていさん、田中藍奈さん、

 『SDGsネイティブ』な2人が
自然体で思い描く茅ヶ崎の未来とは?

今回は本連載最年少、20代前半の2人が登場。
環境問題を中心とした情報をポップに伝えるフリーペーパーの発行や、ゲーム形式やライブを取り入れた河口クリーン活動など、
みんなが楽しみながら自分の暮らしと社会課題のつながりに気づく
きっかけづくりを行う、BENIRINGOの田中藍奈さんと阿部汐里さんです。

「きれいごと委員長」かわていさんが『SDGsネイティブ』と名付けた、2人のたくらみごととは?

SDGsに感動した高校3年生、
1人でフリーペーパー発行

か:まずは2人が「BENIRINGO」として活動を始めたきっかけを聞かせてください。

藍:もともとは私が高校3年生のときに1人で始めたんです。中学生のときにテレビで日本の食品ロスのことを知って、将来仕事をするなら社会の改善につながることをしたいと思うようになりました。それから他の社会課題も知って全部解決したいと思ったんですけど、高校生になっても特に進路は考えていなくて。そんなときにSDGs に出会ったんです。私がやりたいことが全部世界共通のゴールになっていて、感激しました。

か:それはいつ頃のことですか?

藍:2019年の夏です。SDGsが誕生したのが2015年だと知って、なんで4年間こんな素敵なものを知らなかったんだろうって思いました。

か:日本の義務教育でSDGsが必修化したのは小学校が2020年度から、中学校が2021年度からだったので、確かにまだこれから広まるという段階だったのかもしれませんね。

藍:そうですね、たぶん高校生の私の暮らしの中には情報が入って来なかったんだと思います。まずはSDGsの17の目標をみんなに知ってほしいと思って2019年の秋にフリーペーパーBENIRINGOをつくりました。ちょうどその頃、私のバイト先に取材にいらしていたCheeegaの編集長・小嶋さんにお会いしたんです。その後もいろいろと相談させていただいています。

か:Cheeegaの創刊も2019年12月なので、同じ時期なんですね! ご縁を感じます。でもなぜベニリンゴという名前に?

藍:私の名前の「奈」という漢字が「からなし」という果樹を意味するんですが、昔はベニリンゴを表す名称としても使われていたと知って、これで行こうって。2020年になるとSDGsがどんどん広まってきたので、今度はみんなが行動できる場所をつくりたくて、茅ヶ崎で「SDGsぷちマーケット」を始めました。その会場が汐里さんのお母さんのお店だったんです。

か:ここで汐里ちゃんが登場! 面白いご縁だなぁ。

進学せずとりあえず海外へ。
帰国後の活動はコロナでストップ

か:一方で汐里ちゃんはどんな歩みを?

汐:私の実家は人の健康と地球環境に配慮した食事と食材を提供するお店を経営していて、自然にそういった情報が入って来る環境で育ちました。自由研究でも地球温暖化を調べて、『不都合な真実』(アル・ゴア著)を読むような小学生で。

か:僕が環境省の地球温暖化防止国民運動「チーム・マイナス6%」(2005〜2009年)の仕事をやっていた頃です。なんと小学生だったんですね!

汐:子どもの頃からずっとそういうことに興味があったんですが、高校卒業までは何も考えていなくて。でもとりあえず海外に行きたいっていう安易な考えで、進学せずに、まずアメリカのサマーキャンプに参加して。そこから興味を持って、お金を貯めて東南アジアを中心に旅をしました。

か:東南アジアのどこに行きましたか?

汐:ミャンマー、マレーシア、インドネシア、カンボジアです。最初に行ったミャンマーでは現地で国際ボランティアをされていている日本人の方と一緒に農村を回ったりして、同じ時代を生きていてもこんなに生活が違うんだということを実感して。話を聞くうちに、私たち日本人の生活が巡り巡ってこの国の人の生活に影響を与えていることを知って、自分自身がこの問題に関わっている当事者なんだって気づいたんです。ちゃんと学ぼうと決めて大学に入って、国際系の団体でボランティアをしたり、東京でイベントを通して社会課題を伝えていく活動の事務局をしたり。でもその頃に新型コロナウイルスの感染が拡大して、イベントも大学もストップしてしまって。モヤモヤしていたときに、母から「茅ヶ崎にあなたと同じようなことを言っている子がいるよ」って言われました。

か:社会課題には時間のつながりや日本と世界のつながりがあって、一人ひとりが足元から行動してみんなで解決していきましょうというSDGsの本質の部分に、2人とも教えられるのではなく自分の問題意識から行動して気づいていますよね。僕は2人みたいな人を『SDGs ネイティブ』って呼びたいです。

汐:私たちは「SDGs」という言葉よりも、その本質を大事にしているので嬉しいです!

はまったパズルで持続可能に。
それでも部数を減らした理由

か:茅ヶ崎という自分のフィールドで感じたことを発信したり場づくりをしている藍奈ちゃんと、いきなり海外に行って社会課題の現場を見てきた汐里ちゃん。お互いを補い合える良いパズルになっていますね。

汐:藍奈は自分の手の届くことから活動していて、「なんで私は海外とか東京に行かなきゃって思っていたんだろう?」って気付かされました。それにスッとどこにでも入っていける人柄なので、私も茅ヶ崎でたくさんの人とつながれました。

藍:私にとっては、フリーペーパーを自分のポケットマネーでつくるのをやめたことが大きかったです。1人の時は自分の趣味でやっていたので、みんなが好きな服を買うように、私がフリーペーパー制作にお金を払うのは当たり前だし楽しくやれればいいと思っていたんです。でも汐里さんに出会って、自分自身が持続可能じゃないとやりたいことができなくなっちゃうと気づいて。多分1人で続けていたら、苦しんでいたでしょうね。もっと自分自身にフォーカスしようって思えた出会いでした。

か:藍奈ちゃんが始めたBENIRINGOは、汐里ちゃんが入って完成したんですね。今は協賛も入っているようですが、フリーペーパーの部数は増えていますか?

汐:前号の5号は2500部でしたが、6号は1500部にしました。ゴミのことを伝えているフリーペーパーなのに、部数が多すぎると関心のない人の手元に渡ってゴミになっちゃう可能性もありますよね。本当に情報を欲しいと思ってくれる人に届けられるくらいの量に抑えたほうがいいんじゃないかと思ったんです。その代わりホームページをつくり変えて、オンラインで記事を読めるようにしました。

か:自ら部数を減らすとは! これがSDGs ネイティブの発想なんだと思いました。

『巻き込む』とはちょっと違う。
価値観の自然なシフトを、茅ヶ崎から!



か:フリーペーパー発行のほかに、現在はどのような活動を?

藍:相模川の河口クリーン(※欄外)を月に1回、マルシェは年に1回主催しています。不定期ですが、湘南エリアの小中高で訪問授業もやらせていただいています。

か:活動の幅がどんどん広がっていますね。これからの目標のようなものはありますか?

藍:それぞれにあると思いますが、BENIRINGOとしては、みんなが社会課題や環境問題を当たり前に考えられる社会をつくりたいという思いがあります。そのためにも現状を知ってもらうことが大事なので、そのきっかけづくりを続けていきたいですね。『巻き込む』というよりも、もっと自然体で。

汐:ただ、ライススタイルや価値観を変えるということなので、かなりハードルは高いんです。

か:いや、2人がどうしてこういうことをやっているのか話せば、誰でも腑に落ちるところがあると思います。だってみんなそれぞれに、ちょっと心に違和感がありながらも「ま、いいか」って過ごしているところがあるじゃないかな。それに対して2人が「自分たちはこうやってきたんですよ」って話せば、自分なりの考えでもいいんだって気づくから。難しい話じゃないと思います。

汐:そうですよね、みんなの当たり前がちょっと変われば。そうじゃないと、そもそもSDGs の目標も達成できないんじゃないかと思うので。

か:その通りですね!

汐:「もっと広げたい」と思ってしまうこともありますが、私たちは「まずは茅ヶ崎から」というスタンスで続けていきたいと思います!


BENIRINGOをもっと知るには?

❶  フリーペーパー「BENIRINGO」を手に取る

茅ヶ崎で起こっていることや店舗、人などの情報を、環境問題や世界の問題も織り交ぜながら2人の独自の視点で取材し、不定期で発行。ホームページではバックナンバーを含め全号閲覧可能。最新号は2022年11月発行の6号。配架先情報、協賛の問い合わせはホームページにて。

❷  河口クリーンに参加する

相模川河口(茅ヶ崎と平塚を結ぶ湘南大橋の下)にて、毎月1回「河口クリーン」活動を実施。海のゴミの約7割は川から来ていると言われており、相模川河口にも比較的大型のごみが大量に流れ付いているのだとか。次回河口クリーンは、2月19日に開催。詳細はInstagram(@beniringo.chikyu)にて。 

かわていさん

きれいごと委員長
かわていさん

博報堂にて37年間、国連における環境3大テーマ(気候変動、生物多様性、森林保全)からSDGsまで、国家規模、地球規模の錚々たるプロジェクトを手がけてきた。2023年に定年退職後は、日本写真家協会の写真家として活躍中。

かわていさん

SDGsは、2030年までに持続可能な社会を実現するために世界が合意した国際的な目標。2015年9月の国連総会で採択された。「貧困の撲滅」から「パートナーシップ」まで、社会、環境、経済の3つの側面が含まれた17の目標で構成されている。SDGs自体を目的化せず、コミュニケーションツールとして使いこなすことがポイント。


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