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茅ヶ崎市美術館館長 小川稔氏に聴く 小津安二郎の審美眼 OZU ARTの見どころ
茅ヶ崎市美術館開館25周年記念の一環として「生誕120年 没後60年 小津安二郎の審美眼 OZU ART」展が開催されます。
小津安二郎の映画に関する資料や小道具、直筆資料などから垣間見る小津の美意識に注目し、映画を通じて伝えたかったことを探るこの展覧会の見どころを茅ヶ崎市美術館館長 小川稔氏にインタビューしました。
食事のシーンに登場する食器や酒器。独自の美学でチョイスする小道具
「小津作品では、場面と場面の間に、床の間の壺やちゃぶ台の上の食器など、何気ない一コマが静止画のようにカットインされる演出が見られます。人ではなくものに語らせる、小道具愛溢れる小津さんらしい演出です。その一コマは構図も美しく、映画のワンシーンであると同時に一幅の絵画を思わせます。小津さんはもともと絵描き志望だったこともあってか、ストーリーそのものより色彩や構図を重視する向きもあったようです。絵画と言えば、晩年のカラー作品では料亭やオフィスなどで橋本明治や梅原龍三郎など一流画家の作品が何気なく飾られていたりするのも今回の展示では注目しています」
映画監督より絵描きになりたかった!?作品に鏤められた小津の絵心
「小津作品では、場面と場面の間に、床の間の壺やちゃぶ台の上の食器など、何気ない一コマが静止画のようにカットインされる演出が見られます。人ではなくものに語らせる、小道具愛溢れる小津さんらしい演出です。その一コマは構図も美しく、映画のワンシーンであると同時に一幅の絵画を思わせます。小津さんはもともと絵描き志望だったこともあってか、ストーリーそのものより色彩や構図を重視する向きもあったようです。絵画と言えば、晩年のカラー作品では料亭やオフィスなどで橋本明治や梅原龍三郎など一流画家の作品が何気なく飾られていたりするのも今回の展示では注目しています」
小津作品といえば紬。
染織家・浦野理一によるモダンな和装の魅力
「小津映画のタイトルバックでは、よく無地の布地が使われています。作品に登場する女性たちはよく柄物の紬の着物を着ていますが、これは当時上流階級のマダムに人気だった染織家、浦野理一によるデザインです。理一は小津映画の衣装担当で、紬のざっくりとした質感や色彩感を活かし、小津作品ならではのモダンな和装の世界を見事に表現しました。京友禅のような高級感はありませんが、紬は当時流行に敏感な、オシャレな人が着る着物と言われました。ちなみに小津さんはグレー系の色彩も好み、グレー系の緑やブルーなどを衣装の色彩に取り入れ、作品全体をまとめ上げていました」
「作品執筆」のためだけじゃない。
歌舞伎とも関わる、茅ヶ崎と小津安二郎の関係とは
「小津さんと茅ヶ崎の関わりは、昭和十年頃に遡ります。仕事仲間である脚本家・野田高梧に誘われ、共に中海岸にある茅ヶ崎館を定宿に年の半分を過ごしたと言われますが、脚本執筆のかたわら茅ヶ崎をあちこち歩いて回り、地元の書店店主と交流するなど茅ヶ崎との関係を深めました。また茅ヶ崎で修行した歌舞伎役者 六代目 尾上菊五郎の記録映画を撮影するなど、茅ヶ崎の芸能ともご縁があります。我が町茅ヶ崎と、生誕120年を迎えた「世界のOZU」との浅からぬつながりを確かめに茅ヶ崎市美術館にいらしてください」
ゲストトーク(問い合わせは茅ヶ崎市美術館へ)
「小津監督の足跡を茅ヶ崎で辿る」
講師:森浩章(茅ヶ崎館五代目当主)×小川稔(美術館館長)
日時:9月30日(土) 14:00−(約50分)
会場:美術館展示室
料金:無料(要観覧券/申込不要)
映画上映会(問い合わせは茅ヶ崎市美術館へ)
麦秋
日時:11月4日(土) 14:00−(13:30より開場)
会場:茅ヶ崎市民文化会館
定員:50名(申込制/先着順) 料金:無料
上映後、作品について解説します(約15分)
INFORMATION
茅ヶ崎市美術館
住所 | 茅ヶ崎市東海岸北1丁目4−45 |
---|---|
駐車場 | P:あり |
TEL | 0467-88-1177 |
営業時間 | 10時00分~17時00分 |
定休日 | 月休 |
URL | 茅ヶ崎市美術館 HP |