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チガサキゴトよ、チーガ

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海街の本棚

石井桃子
「新編 子どもの図書館」

〈石井桃子コレクションIII〉
岩波現代文庫 二〇一五年

スガマリンタロウ

 読了。
 今まで読んだことのない分野を読んでみました。大人が読んでも児童文学って素晴らしいなと実はずっと思ってきたのですけれど、自ら「かつら文庫」なる私設図書館を作って子どもたちに少しでも、読書に馴染んでもらいたい、本をたくさん読んでもらいたい、という思いがたくさん詰まった一冊をご紹介します。
 時代は日本がまさに高度成長期に入っていく頃の時代背景で、日本での児童向け図書館に対する考え方はお粗末なものでした。著者の石井さんは、文庫を開設するにあたって一九五四年から一年間、米英を渡り、海外における児童図書館の施策レベルの高さ、職員や周囲の大人の意識の高さに驚愕します。
 日本に帰ってくると、一九五八年に「かつら文庫」を作りたくさんの子どもたちがやってくるのですが、その親御さんたちは文庫を学校か教育機関の延長線のものとしかみていませんでした。文庫を支援してくれる世話役のお姉さんたちの話や小さな弟や妹の世話をしながら、本を読みに来る子ども、親の転勤で止むを得ず文庫を離れていく子どもなど、文庫運営の楽しさと難しさがやさしい石井さんの文章で書かれています。
 石井さんは二〇〇八年に亡くなられていますが、なんと享年百一歳!生前に「かつら文庫開設四〇周年同窓会」なるものが開かれて当時のお姉さんや、本を読みふけっていた子どもたちが集まる機会もあったそうです。
 今でこそ、公共図書館と呼ばれるところには児童図書コーナーや児童図書室は併設されていますが、石井さんの児童図書館に対する思いはこの先の時代にも受け継がれていってほしいと思いました。
 みなさんも、あの絵本やあの本とか子どもの頃に読んだ思い出深い本がいっぱいありますよね。

スガマリンタロウ

スガマリンタロウ Sugama Rintaro
茅ヶ崎在住。湘南から東京へ通勤するごくごく一般的なサラリーマン。通勤時間やちょっとした空き時間がもったいないなと思っていたところ、もともと好きだった読書欲に火がつく。積ん読もたまる一方。一箱古本市などのイベントに出店して読了本を放出することがたまにあります。

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