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茅ヶ崎の北部丘陵里山環境に住むマニアックないきもの図鑑 file.26
クマゼミ
DATA :体長40mm前後。北海道〜九州まで広く分布する。初夏に羽化した成虫は、高原や山岳地帯に移動し、秋になると平野部に戻ってくる。赤いトンボの仲間は幾つか存在するが最も身近に見られる種類がアキアカネ。オスの成虫は秋に赤が濃くなる。
⌘ 山田耕作は南湖でアキアカネを見ていた?
童謡「赤とんぼ」。誰もが知るこの歌は、当時茅ヶ崎市南湖に居住していた山田耕作による作曲です。南湖の西、ショッピングモール「ブランチ茅ヶ崎」のある浜見平の辺りは、かつて水田が広がっていたそうです。作曲された当時、秋には数多くのアキアカネが乱舞していたのではないでしょうか。
⌘ 秋の風物詩、アキアカネ
秋の里山。夕暮れ間際にアキアカネの群れが飛び交う田園風景は郷愁を感じます。そんな当たり前の風景だったはずですが近年、アキアカネは激減の一途を辿っています。
アキアカネは10〜12月が最も観察しやすいタイミングです。茅ヶ崎市では小出川添いの水田地帯や、里山公園内の水田、池の周りなどでアキアカネを見ることが出来ます。
⌘ 夏は避暑地で過ごします
アキアカネの幼虫(ヤゴ)は、平野部の水田や湿地などの水域で育ちます。初夏に羽化した成虫は、小さな昆虫などを捕食して体力をつけた後、標高1000m以上の山岳地帯(茅ヶ崎からだと丹沢付近が多い)に長距離移動します。気温30℃を超えると生存出来ないため、夏の間は避暑地で生活し、気温が下がると再び平野部の水田に戻ってくるのです。
⌘ アキアカネが見られなくなった原因は
最近の研究で稲作に使われる殺虫剤の成分が、アキアカネの幼虫の成長阻害や羽化率を大幅に下げるということが発表されました。アキアカネに限らず、その他の生物にも影響がある可能性があります。
小山茂樹 koyama shigeki
1972年生まれ、茅ヶ崎市勤務。県内絶滅種のヤマトオサムシダマシを2009年に茅ヶ崎市内にて再発見し、累代飼育方法を確立した。『月刊むし』『昆虫フィールド』など専門誌に不定期に執筆。
水彩画 / 河野祐子 kono yuko instagram@yukochigasaki