NEW
茅ヶ崎市美術館を設計した建築家、山口洋一郎

「地域に根ざした建築設計で知られる山口 洋一郎の「茅ヶ崎市美術館」は、鳥が翼を広げたような屋根が特徴的です。この湘南の軽やかな空気をまとう当館を舞台に、場の特性を活かす“サイト・スペシフィックな芸術”として、5つの珠玉の「美術館建築」を取り上げます」— 茅ヶ崎市美術館
「美術館建築 — アートと建築が包み合うとき」より
主役は茅ヶ崎の美術館。「美術館建築 — アートと建築が包み合うとき」の開催を機に美術館の建築家、山口洋一郎さんを中心に取材しました。前半は、 山口さんによる茅ヶ崎市美術館の解説、後半は、ちょっと長めですが、この展覧会を企画した学芸員の藤川悠さんと山口さんの対談になります。
地域の美術館をデザインするということ
茅ヶ崎に美術館ができたのは1997年。設計をしたのは建築家 山口洋一郎さんです。手がけるにあたっては茅ヶ崎市の選考委員会が全国から美術館の建築経験をもとに選定した10社が参加する指名コンペの形式で行われました。
4歳から茅ヶ崎に移り住み、現在の仕事場「洋建築企画」も茅ヶ崎。コンペで指名されたなかでも茅ヶ崎をいちばん知っているであろう山口さんは、どのような美術館を構想したのでしょうか。当時の思いを伺いました。
「大きく言うと3つポイントがあります。ひとつめは美術館の大きさ。これは都市計画法で決められていて延床面積※は1,500平米以内という条件があったんです。付近には高砂緑地の松林があるのですが、私はこの自然をなるべく残しておきかった。松を切りたくなかったんです。なので建物を建てる範囲を少なくし、縦に重ねて3階建てにしました。
ふたつめは、開放性のある、開いた美術館にしたいという思いがあったので、浮揚する屋根をつけました。また、1階と2階の公園側はガラス張りにして、四季を眺めることができるようにしました。
3つめは、もともとこの場所にあった原安三郎の別荘が関係しています。今の高砂通りは子どもの頃からよく自転車で走っていましたが、一番上にペントハウスがあってそれはもう素敵な洋館だったんです。建築を志してからは建物の中を案内していただいたりと、原邸は私の建築活動の中で古いものを残していこうという勉強の機会にもなりました。 そんな個人的な思いもあって、美術館のアプローチ部分に別荘の雰囲気を残すような案をつくりました」
※建物の床面積の合計
INFORMATION
茅ヶ崎市美術館
住所 | 茅ヶ崎市東海岸北1-4-45(市立図書館隣り・高砂緑地内) |
---|---|
TEL | 0467-88-1177 |
営業時間 | 10:00~17:00 (入館は16:30まで) |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は開館し、翌平日が休館) 年末年始(12月29日~1月3日) 臨時休館日(保守点検や展示替え等を行なう日) |
URL | HP |