知らなかった茅ヶ崎をもっと知り、もっと好きになり、
もっと楽しめる!茅ヶ崎を知り尽くす情報サイト

チガサキゴトよ、チーガ

  • facebook
  • instagram
  • twitter

チガサキゴトよ、チーガ

OTHER

NEW

次世代が夢を実現できるまちへ 〜誰でも参加できる「茅ヶ崎100年基金」プロジェクト〜

「茅ヶ崎100年基金」設立に向けて奔走する池田さんに、宮治さんがプロジェクトの概要と未来への可能性について聞きました

儲かることと社会的価値あることはほとんど一致しない

宮治 個人や企業がお金を出し合って大きな額の基金をつくり、次世代のための活動に助成していくという茅ヶ崎100年基金の話を聞いて素晴らしいアイデアだと思いました。そもそもなぜ、つくろうと思ったのですか?

池田 ありがとうございます。そもそもの始まりは、僕が市民活動に関わるようになって「儲かることと社会的価値があることは必ずしも一致しない」という現実に直面したことでした。

宮治 共感します。ほとんど一致しないですよね。

池田 一致したら素晴らしいんですけどね。僕自身、「Cの辺り」という場を運営するなかで、身銭を切ってまで子どもの居場所づくりなど意義のある活動に時間と労力を注ぎ込んでいる方々に出会ってきました。でもそんなのおかしいんじゃないか、社会的価値があることにお金がもっと適切に循環する世界を茅ヶ崎からつくれたらと思うようになったんです。

宮治 茅ヶ崎FMも同じです。コミュニティFMは、災害時の情報ツールとしても文化的な意味でも、すごく社会的に価値がある存在です。でも一般的にはビジネスモデルとして成り立たないと言われています。いま全国に300局くらいありますが、そのほとんどが赤字経営だそうです。自治体の支援なしでは成り立たない放送局がたくさんありますが、人口減少のなかでそれもいつまで続くかわからない。

池田 文化的なものは、自治体のお金が巡っていきにくい領域ですよね。

宮治 でも私はなんとしてもFM局をつくりたかった。茅ヶ崎FMは民間企業のバックアップを得てなんとか立ち上がり、局のスタッフは儲かりにくいけれども利益が出せるように皆がんばっています。

池田 まさに宮治さんは、文化的な側面から社会的価値があることにお金が巡る世界をつくるために奔走されているんですよね。僕らは、市民から寄付を集めてコミュニティ基金をつくり、社会的価値のある活動をしている方々に継続的に助成していこうと考えました。

運用によって育てていく継続型基金というモデル

宮治 海外では、そのような基金が数多くあるそうですね。

池田 そうなんです。コミュニティ基金の中でも僕らが目指す継続型基金というのは、寄付で集まった資金を運用して運用益を助成するモデルですが、たとえばアメリカで100年ほど前に生まれた「クリーブランド財団」は、少額の個人の遺産から始まりましたが、市民の寄付と運用によって4000億円ほどの資産規模にまで成長しているそうです。奨学金プログラムの設立や学校の再建を行うほか、劇場街を再生し舞台芸術のまちとして知られるようになるなど、まちづくり自体も民間の財団が担ってしまうほどになっているんですよね。もしも誰かが100年前に茅ヶ崎で継続型基金をつくっていたとしたら、いま、このまちはすごいことになっている可能性もある。茅ヶ崎だけでなく、どの自治体でも税収が減少していくなかで、この継続型基金のモデルが大きな解決策になるんじゃないかなと本気で思っています。

宮治 なるほど、夢のある話ですね。

池田 夢といえば、宮治さんはFM局をつくることともうひとつ夢があるとおっしゃっていましたよね。茅ヶ崎海岸に野外音楽堂をつくるという構想に、僕はめちゃくちゃワクワクしました。

宮治 FM局も野外音楽堂も、どちらも市民が表現する場なんですよ。もちろん市民文化会館も素晴らしいと思いますが、茅ヶ崎海岸のように水平線が見えて地球が丸いことがわかる環境は、なかなかない。茅ヶ崎の財産です。地域特性をいかした場所に音楽堂ができたらという純粋な夢ですね。

池田 茅ヶ崎はいまも素晴らしいアーティストを排出していますが、そういう表現の場所があったらもっと次世代がどんどん育っていくんだろうなと思います。

宮治 そうですね、茅ヶ崎生まれや茅ヶ崎育ちのアーティストもたくさんいますが、そういう人たちに影響を受けた東京や横浜のアーティストたちがいま、茅ヶ崎にどんどん移住して来ているんです。そんな彼らを、表現の場をつくることでバックアップしていけたらと思うんです。

ミッションは次世代の可能性を応援すること

池田 宮治さんのそういった想いはどこからきているのですか?

宮治 自分の小さい頃を思うと、時間はあるけどお金がなかったんですよ。レコードを1枚買うのに2ヶ月分のお小遣いを貯めなくちゃいけなかった。でも、成人して経済的にある程度余裕ができた頃には、もうそれは世の中にないんです。自分がそういう経験をしているので、若者がチャンスをいかせるような環境をつくってあげられたらいいなと思いますね。

池田 宮治さんもそういった原体験をお持ちなんですね。いまの茅ヶ崎にも、子どもが思い切り遊べるプレーパークをつくりたいという方や、まちじゅうに子どもの居場所をつくりたいという想いで活動している方々がいます。そんな場ができたら子どもたちがいきいきと育つまちになるなぁと。

宮治 本当にみなさん多種多様ですよね。ラジオのゲストに来てくれる人たちも、素晴らしいアイデアを持っている。日本は石油が出るような自然資源が豊富な国じゃないので、財産は「人」です。特に若い人は吸収力がすごいですし、好きなことをやるというのは言ってみれば特急券を持っているようなものなんですよ。やりたいって気持ちがあれば、絶対早く実現できる。

池田 まさに、そういった「次世代の可能性」を応援することが茅ヶ崎100年基金のミッションです。次世代の挑戦自体を支援したり、公教育ではできない体験を提供する団体に助成したり。困難な環境下にいる子どもたちを支援する活動も含めて、5つの領域( 19ページ参照)で助成していく予定です。茅ヶ崎にはすでに活動家がたくさんいるので、彼らが夢を実現できるような環境とお金さえあれば、茅ヶ崎はめちゃくちゃ面白くなるなって感覚がすごくあるんです。

地域の次世代のためにお金を使うという選択肢をすべての人に

宮治 ところで寄付集めは順調ですか?

池田 いま(対談を行った2025年12月下旬時点)、設立に必要な1000万円まであと半分というところまできています。3月31日までの設立を目指してクラウドファンディングも始めましたが、最終的に1億円を集めて運用によって継続型基金になることを目指しているので、まだまだ長い道のりですね。でも、茅ヶ崎で晩年を過ごした作家の開高健さんの『明日、世界が滅びるとしても 今日、あなたはリンゴの木を植える』という言葉に出会い、力をもらいました。リンゴの木を植えても実がなるのは何年も後ですよね。でも、リンゴの実を配るんじゃなくて木を植えることでいつか実りを迎えて、その後は毎年実がなって誰かが食べて助けられていくイメージが浮かんで、これが茅ヶ崎100年基金の根底にある精神なんじゃないかと思ったんです。自分の生き方としてもそうありたいなと。

宮治 どんなときでもポジティブに生きたいという気持ちが表れている、茅ヶ崎らしい言葉ですね。この前、何かの文献で知ったのですが、まだ海側が砂山のような状態だった大正年間、ラチエン通り沿いの海に近い広大な場所に別荘をもっていた電気工学博士の廣田精一さんという方が「ここは東京に近いから絶対人が住むようになる」と言って、100人くらい人を雇って植林を始めたそうです。それがいまの防砂林に育っていると。

池田 なんと、防砂林は一人の個人が始めたものだったんですね!

宮治 彼が松を植えなかったら、茅ヶ崎の海沿いはいまも人が住めない場所だったかもしれませんよね。お金を持った人の責任というのも多少はあると思いますが。

池田 日本には寄付文化がないと言われますが、先日、先代から土地を相続で受け継いだ方が「地域や子どもたちのために使えるようになるなら」と、寄付を申し出てくれました。受け継いだものを次世代に手渡すという純粋な思いをお持ちで、素晴らしい生き方だなぁと涙が出そうになりましたし、寄付いただいたお金を大切に使っていこうと身が引き締まる思いでしたね。そういう方々は、「地域の次世代のために使う」という選択肢に共感してくださるんじゃないかなと思います。クラウドファンディングも、お金を集めているというより仲間を集めているという感覚の方が強くて。

宮治 共感や仲間を集めるためにも、少しでも早くこの基金でつくったものが具体的に見えるようになるといいですね。

池田 時間はかかるかもしれませんが、防砂林を植えた廣田さんのおかげでいまがあるように、次世代を見据えて行動し続けたいと思います!

RELATED ARTICLES関連記事