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独立系書店のじぶんを生きるための 読書案内 file.02

1,300円(税込)著:関根愛(自費出版)
この世界とはいったい何で、なぜ存在するのか。私はなぜここに生まれたのか。そんなことをよく考える。特に、物事が思うように運ばないとき、凄惨なニュースを目にしたとき、自分の中の世界の認識が、よりネガティブなものに書き換わるようなとき。こんなにひどいことが起こる世界が、なぜ存在し得るのか。神様のような存在がいるとして、私たちに何を望んでいるのか。
そんな答えの出るはずのない問いに囚われて袋小路に迷い込んだときは、関根愛さんの『やさしいせかい』をひらく。関根さんがこれまで出会ってきたやさしさと、その反対の記憶が、今にもこわれてしまいそうなほどの繊細さでうつくしく描かれる作品だ。「せかいは何者でもないのだろう。(中略)どんなふうに見つめるかによって、どんなふうにも変わってしまえる、恐ろしいくらい自由なものなのだろう。」
見方によって〈せかい〉が構築されるのだとしたら、私はこの世界をどんなふうに見たいだろう。世界はうつくしくもあり、同じくらい残酷で、日々どうしようもなく悲惨なことが起こる場所でもある。だからこそ、生きる意味がある、のだろうか。やさしさしかない、しみ一つ無いような場所だとしたら。だとしたら、じぶんという存在が溶けてなくなってしまうのかもしれない、とふと思った。
けれど、やさしくないものを無条件に肯定するつもりはない。違うと思うものには勇気を持ってNOと言う。それと同時に、やさしいもの、うつくしいものも見つめ続ける。世界を真剣に見つめ、じぶんという輪郭を持って参加する。そうやって、この何者でもない場所を書き換えつづけた先で、やさしい記憶が、そうでない記憶より少しでも多くなればいい。
吉田悠希 / CRAYD BOOKS & COFFEE
Yuki Yoshida/1994年生まれ。会社員や教職員を経験後、2026年に書店を開業。13歳で重松清の『きよしこ』に出会い読書好きに。特技はオセロと黄昏れること。





