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海辺の朝市 14のつくり手と 春野菜 / PT.2
伊藤農園 / 本村
「有機野菜」とか「無農薬野菜」とか。ここ数年でグッと身近になったような、まだとっつきにくいような、意識高い系の匂いがするような…。そんなあなたにぜひ味わってほしい、「伊藤農園」の野菜。代表・伊藤英世さんが手塩にかけて育てた ”栽培期間中無農薬・無化学肥料“の多種多様な野菜たちは、「難しく考えず、まあ食べてみてよ」と語りかけてくるようだ。
売上よりも、クオリティと満足度。
自分の見えるところで商売する
本村の住宅街、国道1号線もすぐのところにある「伊藤農園」。現在47歳の伊藤さんが先祖代々続く家業を継ぎ、農業を始めたのはおよそ18年前のこと。学卒で輸入雑貨を扱う企業に就職後、仲間と起業し、自由が丘や吉祥寺でビジネスを展開していた伊藤さんに転機が訪れた。「会社経営は面白い、でも先が見えない」という想いから農業に転身。直売を始めると少なからずお客さんがつき、「辞めるわけにいかなくなった」と笑う。お父様が1970年代からはじめた有機農法(JAS認定は受けず、以下同様)を受け継ぎ、朝市と個人宅配(市内限定)、近隣飲食店への卸を中心とした「自分でつくって自分で届ける」スタイルで農園経営を続けてきた。
「自分の見えるところで商売したいんですよね。昔みたいに貪欲にビジネスに走るのも面白いですが、農業ってひとりでつくれる量も限られているので、知ってる顔に買ってもらって、クオリティと満足度を上げていきたい。それが今の自分のモチベーションです」
朝市では、他の農家さんに
”埋もれたい“
それにしても伊藤さん、不思議なほど低姿勢で控えめ。朝市でも看板に小さく「無農薬」とあるだけで、農法について特に強く打ち出すことも、お客さんにこだわりを熱く語るようなこともない。慣行農法よりも高いリスクを取って安心安全な野菜を育てているのなら、もっとアピールしてもいいはずなのに。
「差別化? 宣伝?…あまりしたくないですね。オーガニックじゃないとダメってお客さんばかりだと僕も困っちゃうし、売ることよりつくることに注力したい。自分の努力は、内向きが8割、外向きが2割でいいかな、と思っているんです。
僕は自分が食べて美味しいと思ってこの農法でつくっているので、お客さんも食べてわかってくれたらいい。農薬使ってる野菜と比べたときに見劣りしないような、なおかつおいしく、当然のごとく安全に、というスタンス。朝市でも他の農家さんに埋もれたいです(笑)」
有機農家がお互いに相談し合える
関係性を、このまちで
つくる量も売り方も、暮らしと仕事も、「今が一番いいバランス」と語る伊藤さん。2016年には、次世代の有機農家を育てたいという思いから、茅ヶ崎の生産者グループ「Bio Farmers Chigasaki(通称Biocchi/ビオッチ)」を結成、発起人となった。
「品種も栽培技術も経営も、お互いに聞いて学べることはいっぱいあるので、切磋琢磨してみんなのスキルが上がっていけば理想的だな、と。でも僕は宣伝が苦手ですから(笑)、若い人が目立てばいいんです」
朝市で隣に店を構えるBiocchi若手メンバー・島次郎農園の、日に日に長くなる行列に目を細める伊藤さん。そのやわらかな眼差しに、茅ヶ崎らしい有機農業の未来を見た気がした。
writer:池田美砂子
フリーランスライター・エディター。茅ヶ崎市在住、2児の母。
大学卒業後、SE、気象予報士など会社員として働く中でウェブマガジン「greenz.jp」と出会い、副業ライターに。2010年よりフリーランスライターとして、Webや雑誌などメディアを中心に、「ソーシャルデザイン」をテーマにした取材・執筆活動を開始。聞くこと、書くことを通して、自分が心地よいと感じる仕事と暮らしのかたちを模索し、生き方をシフトしている。
斉藤ファーム / 下寺尾
直売所:下寺尾1479
斎藤賢一さん/なるべく有機肥料を使い、なるべく薬品を使わず自然に近い栽培を心がけています。朝市では野漬物や惣菜、春はこちらで採れたヨモギを使った団子なども出す予定です。
小澤園芸 / 赤羽根
小澤繁隆さん/朝市では新鮮でおいしいものを出荷したいと思っています。減農薬で、そしてなるべく有機肥料を使うようにしています。
有限会社横山花園 / 中島
直売所:中島1308 8:30~18:30
横山貞裕/高品質オリジナリティのある商品を目指しています。なるべく珍しいものを探すようにしています。花に関しての質問やリクエストもお気軽に!
川島園芸 / 寺尾
直売所:寺尾1465 9:00~17:00
川島忠/年間を通して新鮮な品をもっていけるよう心がけています。お客さんに喜んでもらえた時がうれしいです。
花苗店Blue in Green / 南湖
高橋栄さん/朝市のある土曜日に最良の苗になるように花がら取り,肥料管理を行う。良い苗だと喜びの声を聞いた時はうれしいです。
『海辺の朝市』は現在(2020年3月31日)休止中です。
下記リンク先で開催情報をご確認のうえ、お出かけください。
【茅ヶ崎海辺の朝市のfacebook】@Chigasaki.Umibeno.Asaichi
writer:小嶋