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すずの木カフェ / 元町
畑の野菜を追いかけて
野菜を信じているから、
余計な調味料は使わない。
まちで採れた野菜のおいしさを
まちのみなさんに。
「すずの木カフェ」の1週間は、畑から始まる。3月、ある火曜日の朝。オーナー・吉村千絵さんが自宅から自転車でお店に向かう途中に立ち寄ったのは、伊藤農園。代表・伊藤英世さんと挨拶を交わし、前日にLINEで注文した野菜たちを前後2つのカゴに乗せ、開店前のお店へ。トントン、グツグツ。みずみずしさそのままに、野菜の仕込みが始まった。
2009年、フレンチレストランで働いていた吉村さんが、画廊喫茶をコンセプトにオープンした「すずの木カフェ」。
“ちょっとしたハレの日のランチ”という感覚でまちの人々が日常的に使えるよう、フレンチの技術を活かした家庭料理を提供している。お店を始めるとき、野菜は迷わず伊藤農園にお願いしたと言う。
みずみずしい野菜!
塩とハーブをパラパラ〜
オリーブオイルをかけて
いざ!オーブンへ
instagramに載せる写真を
手早くパシャリ☆
「有機で露地栽培、いいですよね。”絶対有機がいい“とは思ってないんですけど、近くであるのはとてもうれしい。茅ヶ崎に畑や田んぼのある風景を残したいから、食材はできるだけ近くで採れたものを使いたいと思っています」
野菜が主役となるこの日の「Cランチ」は、伊藤農園の旬野菜を取り入れた「人参とさつまいものロースト・ごまソース」。全てのランチに添えられたサラダも、今朝仕入れた葉物や紅芯大根で彩られた。「地物の野菜は鮮度が全然違ってチカラがある」と語る吉村さん流・調理のコツは、「野菜を信じる」こと。たとえばスープはだしを一切使わず、野菜と塩と水だけでつくっているのだとか。どこまでもシンプルだからこそ、旬の素材のおいしさが感じられるこの店にはリピーターも多く、お子様連れからシニアの方、肉派からベジタリアンまで実に多様な人々が訪れる。
「大事にしたいのは、季節感とリラックスして食べてもらうこと。”身体にいいから“とか、頭で考えずに楽しんでほしい。普通に来たらベジタリアンメニューもあって、”おいしいね“って食べたら地元のものだった、というのが理想です」
メニューの片隅には、「野菜は地元のものをこころがけています( 全てではありません )」なんて正直なコメントも。信念を持ちながらも「 ”絶対“だと疲れちゃいませんか?」と笑う吉村さん。そのしなやかさが溶け込んだ店内には、今日もまちの人々の「おいしいね」があふれている。
※ランチは季節で変わります
吉村千絵さんのワンポイントアドバイス
Q:春の地元野菜をおいしく味わうコツは?
A:野菜を信じてシンプルな調理法を選ぶこと。蒸し野菜なら塩を素材に絡めてから火を入れると、野菜の味が引き出されますよ。
毎週火曜日は
Kei’s Panさんの パンの販売も
売り切れご免
お店で味わう青ぶどう2020
小西農園の藤稔(ふじみのり)
writer:池田美砂子
フリーランスライター・エディター。茅ヶ崎市在住、2児の母。
大学卒業後、SE、気象予報士など会社員として働く中でウェブマガジン「greenz.jp」と出会い、副業ライターに。2010年よりフリーランスライターとして、Webや雑誌などメディアを中心に、「ソーシャルデザイン」をテーマにした取材・執筆活動を開始。聞くこと、書くことを通して、自分が心地よいと感じる仕事と暮らしのかたちを模索し、生き方をシフトしている。