NEW
SATOYAMA育ち
谷戸の竹林は里山の宝
子どもの頃、春になると祖父とよく竹の子探しをしました。祖父の後をついて裏山に行き、私が地面の笹を掻き分けて、ちょこんと出た竹の子の頭を見つけて枝を立てて印を付けておくと、祖父がうしろから付いてきて、それを掘ってくれるのです。たくさん枝をたてると褒めてもらえるのが嬉しくて上達したのでしょうか、今でもなかなかの名人なのではないかと自負しております。
祖父と掘った竹の子は、ご飯と一緒に炊いたり、大釜で茹でて煮物やちらし寿司、茶わん蒸しなど作ってもらい、大家族で食卓を囲みました。
昔はそんな和風な食べ方しかしなかったのですが、物心がついてからは春巻や青椒肉絲などの中華にしたり、刺身で食べたり、パスタの具にしたり。個人的にもお料理のレパートリーも増え、食材としての新たな魅力を感じています。
茅ヶ崎北部の里山地区は「」という小さい山間の谷間にある山を切り拓いたような土地に、民家や田畑、雑木林などが形成されています。その谷戸にある民家は、裏に竹が生い茂っているような昔からの家が多いです。堤にある私の実家がまさにそれで、裏には竹藪があります。
竹藪も竹が密集するとなかなか良い竹の子が出てこないこともありますが、何よりも竹藪は、そのまま放っておけば伸び放題の雑木林になって景観が変わってしまうので手入れが必要です。
私が子ども頃の里山の地域には、それぞれの家が自分たちで手をかけた美しい竹林がたくさんありました。それは今でも里山の宝だと思っていて、雑木林が多くなってきている今の状況はもったいないなと思っています。
髙橋浩美 Takahashi Hiromi
実家が茅ヶ崎里山で代々農家の野菜ソムリエプロです。実家での筍や大根の収穫体験BBQを通して里山の良さを伝えるべく「湘南の里山を楽しむ会」を主宰しています。野菜ソムリエプロ/冷凍生活アドバイザー/食育インストラクター/命の食事アドバイザー/かながわブランドコンダクター/湘南ベジフルふぁんファン