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映画作家 安田ちひろの湘南 つれづれ 日誌

湘南 つれづれ 日誌「最適な作業環境について」

安田ちひろ

 作家というと部屋にこもって孤独に執筆作業しているというイメージがある。ただそんな孤独と戦っていると作家自身の心が病んでしまうことも。太宰治は最後自ら命を絶ったほどだ。私も脚本を書くときは部屋に籠ってひたすら書いていることが多い。すらすら書けるときは良いが、詰まって書けないときは「書かなきゃ、書かなきゃ」と思えば思うほど書けなくなり、普段は気にならない雑音が耳に入ってきて、集中することが困難になる。人は追い込まれると感情のコントロールが難しくなる。

 そんな時は、環境を変えるべく近くのカフェで作業したり、友人と一緒にすることにしている。他人の目がほしいと思うからだ。

 これらは『ピアプレッシャー』と呼ばれ、日本語訳は『同調圧力』。周囲からの評価や視線などの圧力のことを指す。『同調圧力』というと日本社会の悪い風潮のようだが、程よく作用すれば良い結果を生み出すことがある。悪い面が働くと、「自分の仕事は終わったが職場の仲間が残業をしていて帰れない」などはよく聞く話だが、良い面が働くと「程よい緊張感がもらえ、仕事の生産性があがる」「友達も頑張っているから自分も頑張ろう」と一人じゃ得られなかった自分の甘えを超えられるモチベーションを得られたりする。

 ただ、やはり私が良いものを書けたなと思う時は「孤独」と戦っている時だ。時間感覚がなくなり、周りの雑音が全く耳に入らない「ゾーン」状態に入った時。これは「孤独」の時でしかあり得ない。人によって様々かもしれないが、「孤独」と「ピアプレッシャー」を程よく使い分けすることで、良いパフォーマンスができると思う。そして、現代の作家たちは、太宰治のような最後から逃れられるのではないかと思う。


安田ちひろ

安田ちひろ Chihiro Yasuda
1987年生まれ、茅ヶ崎在住。。大学在学時に自主映画制作を始める。関西TVドラマ「大阪環状線」第8話脚本など。湘南にて映画制作コミュニティ『スタジオMalua』を立ち上げる。プロアマ7名の作家による江ノ電1駅ごとの短編オムニバス映画「江ノ島シネマ」企画・プロデュース。

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