知らなかった茅ヶ崎をもっと知り、もっと好きになり、
もっと楽しめる!茅ヶ崎を知り尽くす情報サイト

チガサキゴトよ、チーガ

  • facebook
  • instagram
  • twitter

チガサキゴトよ、チーガ

LIFESTYLE

NEW

茅ヶ崎うまれの ものさがし

file.13 小原聖子(金工家)

10月某日。茅ヶ崎市内にある
小原聖子さんのアトリエへ

穏やかな光の明るい作業場は
棚などが機能的に整っていて
よく使い込んだ木製のデスクまわりは
とても手に取りやすいような具合で
ペンチなどの道具が並んでいました

プライベートでは昨年お子さんが生まれ
お母さんの顔も覗かせてくれました

いつでも誰でも。
何にも縛られない
自由なブローチ

ブローチ  5,500円〜(全て真鍮製)
バングル 15,400円(錫製)

「ブローチというと着飾って華やかにするというイメージがあるけれど、そうではなく、例えば前開きのニットを留める時に、見た目と機能を兼ね備えていたらいいなと思っています。柔らかい服にちょっとアクセントというかピリッと効かせる、金具で締める、みたいな」

 服につけた時に見た目がステキにきまるのは勿論、さらに服の一部に機能として組み込まれるという、小原さんの考える必然性のあるブローチの使い方。聞けば小原さん自身は華やかなアクセサリーをつけるタイプではなく、ブローチが使われるシーンを想像をめぐらしながら作っているのだそう。続いてこんなことも。

 「その場合のブローチは、特定のモチーフではない方が使いやすいと思うんです」

 小原さん曰く『これは○○のブローチです』と特定するとそれに縛られてしまうと言います。例えば『花のブローチ』にした場合、その花が咲いている時期にしか身につけられなくなってしまい、ブローチの出番が少なくなってしまう。具体的なモチーフにしないことにより、シーズンも気にせずに、思いついた時にいつでも使ってもらえると考えます。

 さらに小原さんはこのブローチを子どもを含めた老若男女いろんな人に、また、つける場所も洋服だけじゃなく、帽子だったりカバンだったり自由にしてもらいたいと言います。

 こういったブローチにまつわる一連の考え方は、美術大学で金工を始めた当初からあったそう。小原さんは大学を卒業してから一度も就職をせずに金工家として存在し続けている稀有な作家ですが、その理由が垣間見えた気がしました。

有機的だけど具象ではない。
受けとり手の想像が
膨らむものをめざして

ピアス 7,700円(真鍮製)
小原さんの使用する白の塗料はすべて同じもの。
そのままの質感は“ツヤあり”。塗布後に金属のブラシでこすると“ツヤ消し”になる

「カタチに関しては、植物などのエッセンスはあるかもしれないけど、具体的にはしません。有機的だけど具象ではない、特定の何かに見えないように制作しています。これは何かの植物っぽいね、という人がいたり骨っぽいね、という人がいたり。いろいろ違う方が面白いと思うので、受けとり手の想像が膨らむようなものを作っていきたいです』

 人それぞれ自由な受けとめ方をして欲しいという小原さんの思いは、作品の中にメッセージとしてしっかりと込められています。

 いちど作品を手にした人は、服に着けた時にピリッとする、その効き具合にしびれ、また汎用性の高さに魅了されます。国内外にファンがいて注目されている小原さんの作品が、地元のギャラリーで常設になっていて触れられるというのは嬉しいことですね。

お子さんの誕生によって
変わること
変わらないこと

 

 最後の質問として、お母さんになった小原さんにお子さんの誕生によって作風は変わっていきそうですか? と尋ねてみた。

Profile 小原聖子
————————————–
辻堂出身、茅ヶ崎市在住。
武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科金工科専攻卒
————————————–
茅ヶ崎では「okeba gallery&shop」に作品を常設。ほか、
2416MARKET(NEWoMan YOKOHAMA)、SOUVENIR FROM TOKYO(国立新美術館)
————————————–
12.10-26 個展/graum(所沢)
12.17-1/5 グループ展/菜の花暮らしの道具店
(小田原:常設あり)

 「作風としては変わらないかなと思いますが、子ども生まれるまでは、展示の前などはもうずっと坦々と制作していました。今は作業できる時間が短くなったので必然的にぎゅっと集中してるかな?  もっと計画的にしていきたいと思い、少しやり方をかえてパーツを先にまとめて作ったりと楽しく試行錯誤しています」

 今回のインタビューの中で小原さんは「○○の方が面白い」という考え方を何度も繰り返していました。この迷った時に有効なマネしたくなる考え方! きっと作品の制作時間が少なくなったことも前向きに捉え、小原さんの考える面白さをどんどん発見してパワーに変えていくのだと思います。

手前左はアンティーク布のテクスチャーがついた板。布を型に取り、原型を作ってから職人に発注し、真鍮鋳造されたもの。これを切り取りパーツを作ります。金属のいいところはくっつけたり切り取ったりを繰り返せることだと小原さんは言います。あらかじめかたち作ったパーツを鋳造に出すこともあるそう。
道具とか材料とか。引き出しの中はきちんと小袋にわけて整理されており几帳面な一面も
この状態ではまだ何も決めていない状態。ここからインスピレーションで組み立てていく。
作品になる前のパーツ。直径1cmほどの繊細さ。
ブローチの金具を付ける作業。金属と金属の隙間に銀ロウを流す。
最小限の量で美しく接合するには技が必要


INFORMATION

定休日 なし
URL instagram

RELATED ARTICLES関連記事