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茅ヶ崎の北部丘陵 里山環境に住むマニアックな昆虫図鑑 file.12
ヤマトタマムシ
DATA 本州、四国、九州、南西諸島に分布。体長25〜40mm。6〜9月にかけて発生し日中、エノキなどの樹上を飛び回る。強い金属光沢を持ち美しい。茅ヶ崎市では北部丘陵に見られる
⌘ 「構造色」のこと
ヤマトタマムシは晴天の日中に盛んに活動し全身を宝石の様な美しさでキラキラ輝かせながら飛翔します。その色合いは「構造色」と言い、CDと同じ理屈で光の角度により変化します。
「構造色」はタマムシ自身が死んだ後も保たれる為、装飾の材料になることも。国宝「玉虫厨子(たまむしのずし)」にも用いられています。 また日本の言い伝えでは「タンスにタマムシを入れると着物が増える」と言われ、私の実家のタンスにも入っていました。
⌘ ヤマトタマムシを見つけるには
一般的には珍しい虫だと思われがちですが、そうでもないんです。
タマムシは人が熱中症になるほど暑い日中に、エノキの木のかなり高い場所を羽をキラキラさせて飛び回っています。
切り倒された伐採材や、立ち枯れた木に産卵するので、日中の暑い時間帯に産卵中のメスの成虫を見ることがあります。(最近は「枯木の撤去」が行われているので枯木自体が見つけにくい)
また幼虫は、ケヤキやエノキなどの枯木の内部を食べて生活しているのですが、そのアゴの力は凄まじく、私は以前、幼虫にプラスチックケースを幾度か「貫通」された経験があります。
⌘ なぜこんなにハデなの?
昆虫の最大の天敵は鳥。通常は鳥に見つからないようひっそりと身を隠すのが昆虫の常識です。しかしヤマトタマムシは、見つけてくれと言わんばかりにハデですよね。
これは「色が激しく変化することを嫌って追跡したくなくなる」という鳥の性質を利用しています。体色をキラキラと輝かせながら身を守っていると考えられています。
⌘ ヤマトタマムシの飼育についてのお願い
美しく、可愛い顔付きから人気が高いヤマトタマムシ。すぐに死んでしまうので寿命が短いと思われがちですが、しっかり餌を与えれば1か月以上飼育することが出来ます。
もし飼育を考えるなら「新鮮なエノキの葉」を常に用意してください。そしてそれができない場合は逃がしてあげてくださいね。
writter:虫シゲ