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茅ヶ崎の北部丘陵里山環境に住むマニアックないきもの図鑑 file.14[淡水魚編]
ホトケドジョウ
DATA 環境省レッドリスト絶滅危惧IB類。近年、減少が著しい小型淡水魚。体長6cm前後。体型は太短くドジョウの仲間らしくない独特の姿。4対、8本のヒゲがある。河川源流、支流の湧水の小規模な水域に生息する。日本固有種。青森県、中国地方西部を除く本州、四国に分布する。
⌘ ホトケドジョウとドジョウの違い
上:ホトケドジョウ
下 : ドジョウ
(イラスト/小山画伯)
太く短いぽっちゃりした姿につぶらな瞳、ホトケドジョウはどことなく可愛らしい印象の淡水魚です。
ドジョウとの違いはまずヒゲ。ドジョウは5対、10本なのに対してホトケドジョウは4対、8本。体型はドジョウが細長いのに対してホトケドジョウは寸詰りのコミカルな姿をしています。遊泳する層は、ドジョウが泥底なのに対して、浮袋が発達しているホトケドジョウは中層を泳ぎ回ります。
生息環境はホトケドジョウが特別な環境にしか住めないのですが、川や用水路、水田などに適応するドジョウは、古くから親しまれて食用とされてきました。
⌘ 赤羽根字十三図周辺 特別緑地保全地区
長いですね! 茅ヶ崎でホトケドジョウのような希少な生物が多数生息している自然保護区名です。私たちはこの区域への立ち入りが禁止されていますので、採集はもちろん観察することもできません。貴重な生息地そのものを手付かずに残すのがホトケドジョウを含めた谷戸の生物の一番の保護になります。
⌘ 湧水の湧き出し近くにのみ生息
ホトケドジョウは良好な水質、低い水温と浅い水深を好みます。茅ヶ崎では谷戸の湧水の湧き出し近くのみに生息し、ユスリカの幼虫など小さな水生昆虫などを食べて生きています。
ホトケドジョウがいるところには、ホタルやトンボ類など希少な昆虫も生息しているので、良好な環境を指標する魚といえます。
しかしながら、このような小さな小川は土地造成工事などで容易に無くなってしまいます。ホトケドジョウが急速に姿を消し、レッドリストに入った最大の理由です。
小山茂樹 koyama shigeki
1972年生まれ、茅ヶ崎市勤務。県内絶滅種のヤマトオサムシダマシを2009年に茅ヶ崎市内にて再発見し、累代飼育方法を確立した。『月刊むし』『昆虫フィールド』など専門誌に不定期に執筆。