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梅の魅力、再発見

 2月といえば梅。市内では東海岸北・高砂緑地にある「松籟庵(しょうらいあん)」が梅の見どころとして有名だ。 昨年は行われなかった恒例の「梅まつり」も、今年は2月11日に開催予定とのこと(1月6日確認)。

 催しがあろうとなかろうと、梅は変わらず厳寒のさなか粛々と蕾を膨らませ、いち早く春の訪れを告げてくれるが、みんなでワイワイ集まって梅を愛でられるのは、やはり嬉しいし、ワクワクする。

 梅は桜に比べて、イマイチ地味な印象だ。桜ほど華やかでなく、寒い時期が見頃だから花見で一杯というわけにもない。「そういえば梅の季節だな」くらいの気分で梅を見ていた人もおそらく少なくないと思う。かくいう私もその一人だったが、調べてみると梅は思っていた以上に奥が深い。地味の一言では片付けられない魅力がある。

 まず、開花するまでの時間。桜はあっという間に咲いて、あれよあれよという間に散っていくイメージがあるが、梅は時間をかけてゆっくりと咲き、ゆっくり散っていくという。

 また蕾の形も、桜が細長い形状なのに対し、梅はコロンと丸い。梅は桜と違い花と枝とをつなぐ花枝がなく、このまん丸蕾が枝に直接くっつくような格好になる。フサっとしなる桜に比べて優雅さでは負けるかもしれないが、枝の上で「寒さなんかに負けないぞ」とばかりにギュッと拳を握り込め、時をかけて慎重に掌を開いていくと思うと、なんだか健気で頼もしいではないですか。

 そもそも梅と桜とでは鑑賞ポイントも違うらしい。桜は華麗に花開いた全体像を眺めて楽しむものであるのに対し、梅は一つ一つの花をじっくり見るのがおすすめ。枝と蕾、花のバランスを鑑賞するのが良いとされているのだそうだ。

 なるほど、そうやって眺めると、また梅の違った魅力が見つけられそう。花の魅力というものは、単なる印象や派手さ、地味さだけで判断できるものではないのかもしれない。

 ちなみに、梅はたっぷりと蓄えた養分を最初の開花時に使うため、咲き始めの頃のほうが充実した花になるのだそう。満開と言われる時期は花の見頃としてはもう終わりかけなので、美しい花を鑑賞したいなら、少し早めくらいで観に行くのがおすすめということだ。

 そういえば、梅といえば花のあとの梅の実も気になるところ。梅には鑑賞目的の花梅と実を収穫するための実梅とがある。松籟庵の梅が実梅か花梅かは定かでないが、一般的に梅の実は栄養価が高いと言われる。 ビタミンやミネラルも含まれるが、何といっても見逃せないのがクエン酸だ。クエン酸はエネルギー源で、疲労抑制効果がある。これらを手っ取り早く摂れるのが梅干しだ。

 以前、齢90を迎える女性社長にお聞きしたのだが、健康の秘訣はずばり梅干しなのだそうだ。「私の宝物」と言って見せていただいたのは、金品でも宝石でもなく、100年ものの梅干しが漬かった壺。もちろん食べすぎはよくないが、いまだに健康現役でいられるのは、ほかでもない手ずから漬けた梅の力だとおっしゃっていた。

 最後は花より団子みたいな話になっちゃったが、鑑賞してよし、体によし、この冬はそんな幅広い梅の魅力をぜひ再発見してほしい。


藤原千尋
ふじわらちひろ/1967年東京生まれ、2006年より茅ヶ崎市松が丘在住/出版社勤務を経て単行本ライター。ビジネス、教育、社会貢献、生き方老い方など幅広いジャンルの企画とライティングを手がける。

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