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赤羽根山から藍を叫ぶ
ちがさき藍プロジェクト
せっかく農家になったんだもの、憧れの藍と丁寧につきあってみよう。タネから茶葉、染めまで、自分の手を通してじっくり味わう企みです。
第五話
二年目の春がやってきた!
春分を過ぎ、日が伸びて畑仕事も次々と増えていく。年間スケジュールで動いている我が藍プロジェクトもメンバーの新旧交代で忙しい。そんな中にも着々と進めているのが藍染め。一方で新メンバーと一緒に藍のタネまきをスタートさせテンテコマイの日々が続いている。
さて、藍染め。とにかく染め液を作る(これを「藍建て」といいます)ことができないと始まらない。毎日、桶をのぞき込み手塩にかけて育ててきた蒅(すくも)チャンだもの、さぞかし素直に色を出してくれるものと思いきや、コイツがプロの染め師も手を焼く気難しさで(汗)
悲痛な思いの中、いや待て、復活の根性はあるはずと不敵な笑みを浮かべながら自宅に引き取って再挑戦が始まった。
思いの軸は「生きもの」だってこと。野菜を作っている中で一番の思いと同じ。どんな解説書も名人からのアドバイスも、同じようにやっても決して同じ結果にはならない。それが生きもの相手の営みということを毎日のように痛感させられているから焦りはするけどめげる必要もない。「藍からのメッセージを聞き取れ」なーんてカッコイイこと言っても、とにかくそんな心持ちでじーーっと見つめさっさと決断するのみ。
〈幻の対話〉の成果があったのか、出た!色‼ 二日目で「青っぽい白」。そこから日々刻刻、藍色が濃くなってくるじゃないですか。この号が出る頃には色も安定しているはず。
あー、メンバーへの電撃発表が待ち遠しい。
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吉野正人 Yoshino Masato
茅ケ崎どっこいファーム主宰。教員生活を経て2018年より就農。赤羽根の自然の循環の中でオーガニック野菜を手がける一方、「おいしいと楽しいをつなげたい」をモットーに「農あるくらし」について様々なライフスタイルを提言。