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宮治淳一のワンス・アポン・ア・タイム・イン・チガサキ
其の十二
茅ヶ崎をとりまく音楽環境、只今変革中!〈ミュージックシティ茅ヶ崎〉の進化と真価やいかに
数多くの素晴らしい音楽家を生んでいる土地ではあるが、昭和に育った私には茅ヶ崎が決して音楽フレンドリーであったわけではない。レコード店は茅ヶ崎駅南口の長谷川楽器と茅ヶ崎小学校そばのチヤマくらいしかなく、いっとき雄三通りにアダチ楽器店にレコードが置いてあったがすぐになくなってしまった。ギターを弾くようになってバンドを作ったが思い切り音が出せる貸スタジオもなく、渋谷の「三浦ピアノ」とか藤沢の労働会館の音楽室を借りた。
1975年ころから少しずつ茅ヶ崎も良くなっていった。野球場のそば岩倉具憲邸にライヴもやるカフェ「ブレッド・アンド・バター」が開店いきなり東京のノリが茅ヶ崎にやってきた。コーヒーをいただきながら心地よいウエスト・コースト・ロックをBGMに友と語り合う。そういう奇跡のサード・プレイスが自転車で行ける距離にできたのだ。同じ頃雄三通りの海に近いところに小さな古着屋「マイ」が出来てリーヴァイス501とペンドルトンのウール・シャツを初めて手入れた。その少し後、雄三通りと鉄砲道が交差するところにあった中村屋精肉点の南隣に茅ヶ崎初の輸入盤レコード店「トップ40レコード」が開店した。最近知った話なのだが70〜80年代有線放送所が茅ヶ崎駅南口の繁華街の中に存在しリクエストを加盟の飲食店から電話で受けレコードをターンテーブルで回していたという。しかしそれらはすべからく短命だった。
2023年確実に茅ヶ崎をとりまく音楽環境が変わろうとしている。中海岸にマニアックなレコードを売る中古レコード店「アムステルダム・レコード」が出来、矢畑ではかつてヤマハ音楽教室があった所に貸スタジオが併設された素敵な音楽スペースが間も無くオープンする。
この新しい革新的拠点は茅ヶ崎北部音楽シーンを確実に変貌させることだろう。
そして待望の「茅ヶ崎FM」が10月1日に開局電波を出す。〈ミュージックシティ茅ヶ崎〉の進化と真価が問われる2023年。サザンもやってくる、ヤァ!ヤァ!ヤァ!
映画『なつかしい風来坊』が公開された昭和41年にヒットした女性歌手による素晴らしい楽曲
宮治淳一 Jyunichi Miyaji
1955年茅ヶ崎市生まれ。ラジオDJ、音楽プロデューサー。現在ワーナーミュージック・ジャパンで洋楽編成を担当。「ミュージック・ライブラリー&カフェ ブランディン」を経営する傍ら、ラジオ日本「宮治淳一のラジオ名盤アワー」( 毎週日曜 17:55〜 18:55)、湘南マジックウェイブ「宮治淳一のアワ・ヒット・パレード」(土曜 13:00〜14:00)のラジオDJを担当。サザンの名付け親。「ミュージックシティ・茅ヶ崎」を構想中…。
『茅ヶ崎物語〜MY LITTLE HOMETOWN〜』
(ライブ・ビューイング・ジャパン)書籍
『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』(ポプラ社)
DVD
『茅ヶ崎物語〜MY LITTLE HOMETOWN〜』
(ライブ・ビューイング・ジャパン)
BRANDIN(ブランディン)
宮治夫妻が1999年にオープンしたミュージック・ライブラリー&カフェ。コーヒーを楽しみながら60〜70年代のポップ・ロックを中心としたアナログLP約1万枚を自由に聴くことができるほか、いまとなっては希少なジュークボックスでの音楽再生も可能。
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富士見町1-2
☎️0467-85-3818
水、木休 13:00〜18:00 (不定休あり)
http://brandin.cafe/