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SATOYAMA育ち
その2 オコジュウはひょっくり芋
皆様はお正月に里芋を召しあがられたでしょうか? 里芋は親芋のまわりに子芋が付いて、さらに子芋の先に孫芋が連なっているところから子孫繁栄の縁起物とされています。だから、お正月には欠かせないのですね。農家の雑煮は里芋と大根が定番です。
里芋は、祖母がよく「百姓のマグロ」と言う人もいるんだよ、と話していました。なぜマグロかというと、物がない時代にマグロのように美味しくて栄養があったからのようです。実際私の父もこどもの頃、栄養失調だったのを里芋を食べるようになって助けられたそうです。
昔は〝 三時のおやつ 〟のことを〝 オコジュウ 〟と呼んでいました。小学校から帰ると祖母から「そろそろオコジュウにすんべえよー」と言われ、畑にいる父や母を呼びに行かされました。おやつといっても出てくるのはケーキやチョコレートではありません。孫芋を茹でた〝 ひょっくり芋〟や〝大根のお漬物〟です。農作業の合間にそういったものでお茶を飲んだりして休憩していました。 ひょっくり芋〟はカゴに山盛りなっていて、しょうゆをちょっとつけて、美味しかったのを懐かしく思い出します。
日本料理の先付で「きぬかつぎ」として洒落た感じで出されたりして、今では高級品となってしまったような里芋。冷凍を利用する人も多いかと思いますが、やっぱり掘れたては美味しいです。真っ黒な土が付いた親芋の子芋・孫芋を切り分けバケツに入れ、何度も水を替えながら板でゴリゴリこすります。昔は年末に袋に入れて地面に叩きつけて泥を落としました。親芋は水分量が少なく硬いということで市場にはあまり出回りませんが、ちゃんと煮れば柔らかく美味しく食せるんですよ。
また〝 大根のお漬物〟は今でも、大きな樽に上にはみ出すほどの大根を漬けています。食べる時には、毎回重石を外したり乗せたりするので腰を痛めないように注意が必要なんですけどね。
髙橋浩美 Takahashi Hiromi
実家が茅ヶ崎里山で代々農家の野菜ソムリエプロです。実家での筍や大根の収穫体験BBQを通して里山の良さを伝えるべく「湘南の里山を楽しむ会」を主宰しています。野菜ソムリエプロ/冷凍生活アドバイザー/食育インストラクター/命の食事アドバイザー/かながわブランドコンダクター/湘南ベジフルふぁんファン