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書籍『父・堀内誠一が居る家 パリの日々』堀内花子
茅ヶ崎の出版社 カノアの本

雑誌カルチャーと絵本文化を牽引した、天才 堀内誠一の長女が綴る父の素顔、パリの生活

田舎の少年だった自分にとって雑誌は、おしゃれや流行といった都会に住む若者のライフスタイルを教えてくれる貴重な情報源でした。なかでも『POPEYE』は、眩しすぎて理解できないページもたくさんありましたが、かっこいいとあこがれが全部載っていました。インターネットのなかった時代の話です。
堀内誠一というデザイナーが、その雑誌のロゴを作ったと知るのはもっと後のことで、幼少期の記憶にある『たろうのおでかけ』や『ぐるんぱのようちえん』の絵を描いた人だと知るのは、さらに後です。絵本や雑誌に触れてきた人ならば、聞いたことのある名前だと思います。そんなスターだったのに、パリへ移住した理由も、多彩な交流を深めて多方面で活躍していたことも、ロマやサーカスが大好きだったことも、毎日絵を描いていたことも、花子さんの原稿を読むまで知りませんでした。
書籍化にあたって、誠一の未発表作品や秘蔵写真を中心に100点ほど収録しました。昭和を知る資料的な価値もある本書ですが、花子さんの瑞々しい文章は、突然異世界に放り込まれた多感な少女の冒険記としてもたのしめます。読むたびに泣いてしまいました。


堀内誠一(1932-1987)(ほりうち・せいいち)
『anan』『POPEYE』『BRUTUS』の創刊に携わり、雑誌におけるエディトリアルデザインの先駆的な偉業を成したアートディレクター。また、絵本作家としても数多くの名作を手がけた。54歳の若さで急逝。
堀内花子
堀内誠一の長女。1974年から約6年間、パリ郊外で暮らす。メーカー勤務を経て、フランス語の通訳・翻訳業に従事。堀内事務所代表。
文:小島秀人(株式会社カノア)