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裏表紙のふたり 河野仁×谷信雪
裏表紙でおなじみ、アピオジムニーの河野さん初登場です。ふたりは裏表紙の撮影でひさしぶりに顔を合わせたそう。楽しそうなのでどさくさに紛れてインタビュー。いいこと話してます。
ふたりは同じメーカーのプロダクトデザイナー
河 谷さんはシャープ株式会社にいたときの先輩です。社内には200名くらいのプロダクトデザイナーがいたのですが、その中でも谷さんは別格でコンペも取りまくっていて憧れの存在だったんです。
編 久々にお会いしたということですがいかがですか?
河 会って喋ると全然変わんないですね。
谷 変わんないよね。
河野さんが湘南に住むきっかけになった谷さん
河 ある時、谷さんが海の方に引っ越すと言って埼玉県の志木から茅ヶ崎に移ったんです。新しい谷さんの店を訪ねたら環境がめちゃくちゃ良くて。谷さんと自転車で海岸線を走ってるうちに、自分も神奈川(海老名)に住んでるなら湘南に住みたいと思って、その日のうちに谷さんと同じ不動産屋に行ってすぐ辻堂に引っ越しました。その頃はふたりとも独身で自由、時間もたっぷりあったので週に3、4日遊んでました(笑)
谷 よく店に来てくれてたね。
河 谷さんの生き方が茅ヶ崎に合ってるんですよ、時間軸とかも含めて。茅ヶ崎に住むべくして住んでる感じですよね。谷さんは少し店を空けるとき「すぐに戻ります」と言って出ていっても、2時間ぐらい戻ってこないんです。常連のお客さんが谷さんの代わりに、もう少しで戻ってくると思うんですけどって別のお客さんに説明するみたいなのがいつもの感じ。
谷 そうだったの?
河 (笑)
お互いの手帳の話から「愛せるプロダクト」について
谷 プロダクトってさ、全部方形だったりするの。そういったデザインされてるものが鼻についてくるみたいなのがあって。これはアルミを手やサンダーで切った。成り行きで作ったからこの辺と辺で使った道具が違うの。皮もこの部分は要らなくて、この辺りはアールが欲しい。そうしたら大きな皮のこの部分だけ、使おうみたいになって。
河 このアルミと皮のコンビネーションがまたいいですね。
谷 実際に使っていってこのミニマルな感じになっていくんだよね。
河 僕も、バイクも車もクラシックな車はかっこいいなと思って好きなんだけど、さぁ旅に出ようと思ってエンジンかかんないのは嫌なのね。だから伝統のブランドを維持しつつも、クーラー効いて移動できる車が好きなの。サイクルボーイのコンセプトもそういうことですよね。レトロなサドルなんだけど、ちゃんと走れるとかね。
谷 そうなんだよね、レトロが好きなわけじゃないんだよね。
河 レトロってワードよくないですよね。いやもう単純にモノとして、当時の方が作り込みもカッコイイしね。
谷 パーツを組み合わせる時はインスピレーションでね、単純にコレがいいなと思っているから使っているだけであって、これが新しく作られていったらもう全然オッケーなのよ。
最後に河野さんにとって谷さんはどういう方ですか?
河 アーティスト。
谷さんから見た、河野さんは?
谷 ビジネスで成功していても、基本的にこの人は少年のまま。少年のまま社長でいられるわけないのに、社長でいられるというところが、底力がね、すごいなって思う。だって少年を維持できないでしょ。社長を演じなくちゃいけない部分が強くなったら、少年なんてどんどん忘れるんじゃない? 河野は忘れないもんな。いつ会っても変わんないもん。
カメラ:位田明生 、河野仁/ ライター:小島秀人(株式会社カノア)