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茅ヶ崎の北部丘陵里山環境に住むマニアックないきもの図鑑 file.25
クマゼミ
DATA : 体長60〜70mm。大型のセミで「シャーシャー」と大音量の迫力ある鳴き声で鳴き、茅ヶ崎市全域で見られる。かつては西日本に広く分布するセミで関東ではあまり見られないレアなセミでした。大柄で黒い体色からイメージされるのは正に「クマ」。新鮮な個体は金色の体毛に覆われている。
⌘ かつてはレア。分布拡大で現在は多数派
クマゼミは西日本ではメジャーなセミで、温暖な気候を好む種と考えられています。湘南では今から45年ほど前には一夏で1、2回ほど鳴き声が聞こえるくらいにレアな存在でした。現在では神奈川県の平地ではあらゆる場所で発生期間中、常に鳴き声を聞く事が出来るくらい当たり前に見られる種類になりました。温暖化の影響で今や福島県まで分布しているそうです。
⌘ 今年は7月6日に浜見平団地で観測
クマゼミは朝早くから大音量でド派手に鳴きます。大体、梅雨明けから鳴き始めますが、今年は浜見平団地(ブランチ茅ヶ崎周辺)で7/6から鳴き声を聞いています。派手な鳴き声から発見は容易で、確実に姿を見るには朝から探してみると良いです。ケヤキや桜などの樹木のある公園などには多数見られますよ。
⌘ 自然度が低い場所にも適応する生命力
クマゼミは高温と乾燥に耐える強い生命力があります。それゆえに街路樹がまばらにある様な一見、自然度が低い場所にも多くの個体が見られます。注目は前記したブランチの周りです。朝一番からクマゼミの大合唱を聞く事が出来ます。浜見平団地、ブランチなどの構造物に反響することもあるのか、とにかく凄い合唱を聞くことができます。
⌘ お盆明けに“ピタッ”といなくなる
近年の気候は10月くらいまで暑さが続く事もありアブラゼミなどはかなり遅くまで活動することもあります。しかしクマゼミはお盆明けに「突如として」鳴き声を聞けなくなります。
毎年、感じる事ですが自身が体感する気温より遥かに敏感に気温以上に季節の変わり目を感じとっている昆虫だなあと思っています。その辺りに潔さのようなものをクマゼミから感じます。
小山茂樹 koyama shigeki
1972年生まれ、茅ヶ崎市勤務。県内絶滅種のヤマトオサムシダマシを2009年に茅ヶ崎市内にて再発見し、累代飼育方法を確立した。『月刊むし』『昆虫フィールド』など専門誌に不定期に執筆。
水彩画 / 河野祐子 kono yuko instagram@yukochigasaki