NEW
きのうきょうあした

描きおろし&エッセイ
絵本作家 おおいじゅんこ
砂の彫刻
〜小和田浜のスフィンクス 〜
私が小学生の頃「砂の彫刻」という行事がありました。全校生徒で海岸まで歩いて行き、クラス毎に砂を使った彫刻作品をその日のうちに仕上げるのです。
当日を迎えるより何日か前の学級会では「砂の彫刻で何を作るか?」 が話し合われます。
色々と案が出た結果、ほとんどの割合で「スフィンクス」若しくは「ピラミッド」が選ばれました。
その様な理由で「砂の彫刻」当日の小和田浜には無数の「スフィンクス」や「ピラミッド」が並ぶのでした。
他のモチーフでは、「富士山」とか「ライオン」「お城」等もあったかもしれませんが、私が関わったクラスでは何故か毎回「スフィンクス」を作っていたと思います。
当時の茅ヶ崎の海岸は今から比べ物にならないくらいもっと砂浜が広がっていました。子どもだったせいで目線が低いから、なお広がって見えたとも思います。「砂の彫刻」を作る場所は学年とクラス毎に決まっていました。砂を積み上げる人や海から水を汲んでくる人。積んだ砂を手でパンパンと叩いて固める人。乾いた砂をサラサラとかけて磨く人。貝殻を拾ってきて飾る人。顔等の難しい場所を作る人。手伝いもせずにちょっと海岸で遊ぶ人。
最後には全校で砂浜を行列で歩きながら一年生から六年生までの作品を見て、学校へと戻ります。特に優劣を競わせるものではなかったので、「みんな良く頑張りました。」という気持ちで終わった気がします。出来栄えは思い出せないけれど、果たしてどんなものだったのか見られるものなら見たい気持ち。写真とか何処かに残っていないかな……
しかし、「スフィンクス」「ピラミッド」はあの時代の流行りだったのかな? 実家にも「エジプト王の謎」みたいな写真集があって見るのがちょっと怖かったなあ。
現代の小学生だったら、どんなモチーフにするのかしら? ちょっと気になるなあ。
母校の「砂の彫刻」の行事は最近は、行われていない様子。小和田浜も波に浸食されてすっかり狭くなりました。

新刊がでまーす
4月中旬刊行
「パンダ!」
ほるぷ出版
1,045円(税込)
購入はこちら
「パンダ パンダ、、、」 「とんだ」
「パンダ パンダ、、、」 「のんだ」
「パンダ パンダ、、、」 「ころんだ」
パンダ パンダ からはじまる、かわいい言葉遊びのあかちゃん絵本です。わかりやすいシンプルな絵で、こどもが大好きなパンダが、次はどんな「、、、だ」なのかを想像しながら楽しく読んでください。小さなお子さん向けのひらきよみにもぴったりです。

おおいじゅんこ/茅ヶ崎市生まれ/県立北陵高校東京藝術大学 大学院/ 1997 年「星の都絵本大賞」大賞絵本作家として活動をはじめる。作品多数