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川廷昌弘さんと語り合う チガサキのたくらみごと

“きれいごと”で茅ヶ崎はもっと面白くなる!?
かわていさんと語り合うチガサキのたくらみごと

vol.05 Ocean’s Love(オーシャンズ ラブ)

海から陸へ、茅ヶ崎から全国へ
笑顔の連鎖が止まらない!
“誰ひとり取り残されない社会”をつくる
サーフィンスクール

対談収録地:ヘッドランドビーチ

かわていさん
(左)かわていさん、(右)伊藤良師(よしかず)さん

“きれいごと”を堂々と語り、楽しみながら困りごとを解決していく「たくらみごと」。このコーナーでは、茅ヶ崎で増殖中のたくらみごとの首謀者にご登場いただき ”きれいごと委員長“かわていさんとともにまちの未来を紐解いていきます。

夏本番、今回の対談の舞台は海!茅ヶ崎で障がい児のサーフィンスクールを開催し、“誰ひとり取り残されない社会”をつくる「Ocean’s Love」の伊藤良師さんにお話を聞きました。初夏の夕刻、サーファーのおふたりにとってホームともいえるフィールドで交わされた、波乗りのように軽やかな言葉の数々。どうぞご堪能ください。

サーフィンして人に喜ばれたのは初めて  !?

か:いや〜、風が気持ちいい。いつもここでサーフィンスクールをしているんですよね、どんな感じでやっているんですか?

伊:小学校1年生から高校3年生まで、だいたい20人くらいの子どもたちが参加して、それを100〜150人ほどのボランティアが支えてくれています。

か:そんなに集まるんですか! 知らなかった〜、僕も手伝いに来なきゃ。

伊:ぜひ!ボランティアの方々は、障がいとか福祉と関係ない方がほとんどなんです。「サーフィンで人のためになることがしたい」という方もいますし、楽しみながらボランティアができる環境だと思います。

か:サーフィンしていると、海から与えてもらうものはたくさんあるよね。それをボランティア活動で返す感じなのかな。伊:長年サーフィンをされている方が、「今までサーフィンして人に喜ばれたことなかった」って言ってましたね(笑)。

か:ははは。サーフィンは自己満足だからね。

伊:ボランティアして子どもたちが喜んでくれて親御さんも喜んでくれて、笑顔が連鎖していって、その笑顔にハマっちゃって、みなさんリピーターになってくださるんです。

かわていさん

か:「立ったー!」って、僕もその場にいたら興奮しちゃいそうだなぁ。

伊:立てなくても、たとえば海が初めての子にとっては、来ただけでもチャレンジなんです。ちょっとでも笑顔になったり、ちょっとでもチャレンジできれば、それでよくて。

か:あぁ、すみません。「立ったー!」は、サーファーのエゴです(笑)。腹ばいでも波に乗って走ったら気持ちいいもんね。活動は地方にも広がっていると聞きました。

伊:ここが関東の拠点で、今は北海道から九州まで広がっています。これまでに、のべ約2000人の子どもたちと、約8000人のボランティアさんが参加してくださいました。スタッフ4人で運営しているので、本当にみなさんに支えられているんです。

か:すごい規模だなぁ。茅ヶ崎から全国に広がる、とっても茅ヶ崎らしい活動だと思います。 

「お前もチャレンジしろよ!」
子どもたちに背中を押されて

かわていさん

か:そもそもどうして障がい児のサーフィンスクールをするようになったんですか?

伊:15年前、代表のアンジェラがハワイで自閉症の子どもたちのサーフィンスクールにボランティアとして参加したんです。彼女はお兄さんが障がい者で、学校でいじめられたりしているのを見て悔しさを感じていて。その活動で、障がいがあっても楽しんでいる子どもたちの様子に感激して日本でもやりたい、と。

か:伊藤くんはいつからこの活動に?

伊:僕は最初ボランティアとして参加したんです。当時スポーツ関連の仕事をしていて、東日本大震災のあと人のためになることがしたいな、と思うようになって。仕事が忙しくて現地に行けなくて、近くで活動していたOcean’s Loveのボランティアに参加しました。茅ヶ崎には震災の直前に引っ越して来ていて。

か: 2011年は伊藤くんにとって大きな節目だったんですね。会社を辞めたのは?

伊:3年半前です。スポーツで人に喜んでもらいたい、という思いは仕事とつながっていましたし、お誘いいただいたときは迷わなかったですね。

か:なんだか運命的だなぁ。サーフィンスクールを始めて15年でしたっけ。

伊:はい。当時小学生だった子どもたちが大人になっていて、2018年からは就労支援のプロジェクトも始めました。

か:人生そのものもサポートしているわけだ。

伊:そうなんですよ、社会に出て苦しんでいる人もいるので、サポート企業の協力で、お仕事体験をさせていただいています。レストランやアパレルのショップで実際の業務を体験させていただいていて。あとはサーフィンに限らずスポーツで笑顔になってほしいので、定期的なスポーツ教室も企画しています。サーフィンで笑顔になった子どもたちを、ずっと笑顔にしてあげたい、と思って。

か:素敵ですね。子どもの成長とともに組織のありようも、伊藤くん自身も成長していってるというか、成長させてもらっているというか(笑)。

伊:本当にそうなんです。「子どもにチャレンジしろって言ってるんだから、お前もチャレンジしろよ!」って言われている感じがしていて(笑)、子どもたちから学ぶことばかりですね。

まずは一緒に感動することから。
ノーマライゼーション社会への一歩

かわていさん

か:改めて、活動のビジョンも教えてもらえますか?

伊:「ノーマライゼーション(分け隔てのない)の社会づくり」を掲げていますが、僕らだけじゃ難しい。だからまずは、多くの人に体感してほしいんです。海で子どもたちが笑顔になってくれた、っていう成功体験を持っていただいて、普段の生活でも誰にでもやさしくしていただけるとノーマライゼーションに近づける。

か:Ocean’s Loveを中心に渦が広がっていって、伝播した人にまた渦ができて、あちこちにノーマライゼーションの渦が広がっていく、そんなイメージかな。SDGsでも一番大事なことですね。今回のコロナ禍でも、小さな飲食店から倒産してしまったり、いかに今まで持続不可能な格差社会をつくってきたか、それに慣れてきたか、って思い知らされたじゃないですか。いろいろな意味での格差っていうものに僕らはもっと関心を持たないといけない。この活動を通して、生まれたときから格差を感じてしまっている方たちと接することで自分たちが教えられる、というのはとっても大事なことだね。

伊:ボランティアの方も、最初は障がい児を相手に戸惑うと思いますが、こういう楽しい場で接すると、怖さがなくなると思うんです。

か:自然体のなかで同じ感動や喜びを共有するってことだよね。ぜひこの素敵な活動は続けていってほしいな。

伊:ありがとうございます。今は企業や個人のご寄付と助成金等で運営していますが、安定して続けていくために、自分たちで事業を成り立たせることも大事だと思っていて。

か:そこだよね。営利と非営利の両輪を成立させる。何か兆しはありますか?

伊:先ほどお話したスポーツ教室は月謝をいただいてやろうと思っています。あとは、障がいに対する知見を活かして、企業向けの研修もやっていきたいな、と。ボランティアに参加することも、チームビルディングやチームマネージメントに活かせると思うので。

か:なるほど、武器が増えていますね。今後の活動の予定も教えてください。

伊:8月末までは全国で活動を中止にしましたが、茅ヶ崎は9月以降に向けて準備しています。オンラインのイベントも随時開催予定です。開催が決まり次第SNSでお知らせしますので、ぜひボランティアにも参加いただき、多くの人に“喜ばれる喜び”を体感していただきたいですね。

か:僕も近いうちに、参加します!

※この取材のあと、9月の開催は中止になりました。以降の活動はOcean’s Loveホームページにてご確認ください


かわていさん

Ocean’s Love
知的障がい児・発達障がい児を対象としたサーフィンスクールを主催する認定NPO法人。代表は、プロサーファーのアンジェラ 磨紀 バーノン。2005年、神奈川県で活動を開始し、現在は北海道、秋田、愛知、大阪、島根、宮崎にも広がっている。公式ホームページにて、運営ボランティアのほか、寄付サポーター(年間・マンスリー・単発)を随時募集中。 http://oceanslove.com/

かわていさん

伊藤さん着用の、Ocean’s LoveのチャリティTシャツはデザインが豊富。オンラインストアで販売中。
https://oceanslove.easy-myshop.jp/

“きれいごと”とは
みんなが本当はこうした方が良いと思っている「きれいごと」。そのままに行動するとこれまでは揶揄されましたが、これからは未来世代のための行動を褒め称える社会をつくっていきましょう!

かわていさん

きれいごと委員長
かわていさん

博報堂にて37年間、国連における環境3大テーマ(気候変動、生物多様性、森林保全)からSDGsまで、国家規模、地球規模の錚々たるプロジェクトを手がけてきた。2023年に定年退職後は、日本写真家協会の写真家として活躍中。

かわていさん

SDGsは、2030年までに持続可能な社会を実現するために世界が合意した国際的な目標。2015年9月の国連総会で採択された。「貧困の撲滅」から「パートナーシップ」まで、社会、環境、経済の3つの側面が含まれた17の目標で構成されている。SDGs自体を目的化せず、コミュニケーションツールとして使いこなすことがポイント。


writer:池田美砂子
フリーランスライター・エディター。茅ヶ崎市在住、2児の母。
大学卒業後、SE、気象予報士など会社員として働く中でウェブマガジン「greenz.jp」と出会い、副業ライターに。2010年よりフリーランスライターとして、Webや雑誌などメディアを中心に、「ソーシャルデザイン」をテーマにした取材・執筆活動を開始。聞くこと、書くことを通して、自分が心地よいと感じる仕事と暮らしのかたちを模索し、生き方をシフトしている。

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