NEW
映画作家 安田ちひろの湘南 つれづれ 日誌
「ここにいる」

私は同性愛者であり、現在同性のパートナーがいる。今まではあまり公にこういうことは言いたくなかった。同性愛であるということをどこかで恥ずかしいと思っていたからだ。
10年程前、私は大学の卒論で「なぜ同性愛は恥ずかしいもの」なのかを調べた。その原因の一つとして「レズビアン」をAVのジャンルとして扱われたことが大きいと感じた。個人の際どい性癖かのように扱われ、それが世間のイメージとして刷り込まれたのだ。それは自分の中にも刷り込まれ、私は大人になるまで自分を隠して生きてきた。
恋愛をしても周りに言えない。付き合えても「結婚」がない。「家族」になれない。じゃあなんで付き合うのか? そんなことを好きな人に説明できず、自分でもなんで生きてるのか、恋愛しているのか、だんだんわからなくなった。
私は去年、今のパートナーと出会った。それから私の世界はひっくり返った。私は同性愛を恥じないようになった。同性愛を恥じることは彼女を恥じることになるからだ。彼女の存在によって、世間で認められなくても、自分自身を否定することはなくなった。そして、前向きに現実を生きていく勇気が持てた。
ここ数年でやっと世間は変わってきた。渋谷区のパートナーシップ制度から始まり、いろんな市区町村も認めつつある。茅ヶ崎市も早期導入を検討中だ。
しかし、この制度に法的効力はなく、異性間の結婚には及ばない。それでも「認めているよ」と制度によって表現してくれることが嬉しい。そしてそこから、同性婚に繋がることも期待している。
皆が認めてくれるとは思わない。けど、せめて私の周りの人には認め、祝福してもらえるように、「私はここにいるよ」と堂々と発信していきたい。

安田ちひろ Chihiro Yasuda
1987年生まれ、茅ヶ崎在住。。大学在学時に自主映画制作を始める。関西TVドラマ「大阪環状線」第8話脚本など。湘南にて映画制作コミュニティ『スタジオMalua』を立ち上げる。プロアマ7名の作家による江ノ電1駅ごとの短編オムニバス映画「江ノ島シネマ」企画・プロデュース。