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SATOYAMA育ち
春大根の話
1月の中旬に春大根の種蒔きをしました。里山の大根の収穫は年2回。春大根は育てるのに100日かかり、冬に種を植えて春に収穫します。冬大根より瑞々しいので生食に向いているようです。流れとしては……
① 「大根十耕」と言うように大きなトラクターで地中深く耕します。作土が浅いと上手に大きくなりません。堆肥や肥料を入れて耕します。
② 綺麗に耕運された畑に長いロープで印になる線を引きます。この線はマルチ(種を蒔く穴が開いたビニール)を真っすぐ引くために重要です。
③ 種を蒔きます。マルチの穴ひとつに種は3〜5粒です。1粒だけだと発芽が遅くなるようです。人間のように兄弟の多いほうが作物も競争心が芽生えて良いようです。
春大根の種まきは、夏に蒔く冬大根に比べて手が掛かります。種が寒さに負けないように、霜にあたらないようにビニールトンネルを被せます。春大根はこの手間が余分に大変ですが、里山を埋め尽くすようにビニールトンネルが張られる景色は里山の冬の風物詩になっています。
早ければ2、3日で双葉が出ます。1か月程で間引きをするのですが、この作業は腰と膝にくるので地味に大変です(笑)。
抜いた大根は「おろ抜き菜」や「間引き菜」と言います。美味しいし栄養価も高いのですが、主に農家さんで自家消費されることが多いようです。
その後3月末までビニールトンネルの換気をしながら育てます。陽気も良くなりビニールを外してあげると、葉っぱが気持ち良さそうに空に向かい、地中の大根もぐんぐん育ちます。 早ければ4月末には市場へ出荷が始まります。
髙橋浩美 Takahashi Hiromi
実家が茅ヶ崎里山で代々農家の野菜ソムリエプロです。実家での筍や大根の収穫体験BBQを通して里山の良さを伝えるべく「湘南の里山を楽しむ会」を主宰しています。野菜ソムリエプロ/冷凍生活アドバイザー/食育インストラクター/命の食事アドバイザー/かながわブランドコンダクター/湘南ベジフルふぁんファン