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宮治淳一のワンス・アポン・ア・タイム・イン・チガサキ
其の五
昭和43年、「ダイクマ」デパートの出現
東海岸北に住んでいたので茅ヶ崎駅北口には縁が薄かったものの母親の実家が元町にあったのでその姿はよく覚えている。駅前小さなロータリーの北側に茅ヶ崎唯一の屋根付きアーケードがあり、靴店、食堂が軒を連ね奥には現在も営業をしている「山鉄」があった。その西側の巨大な「カギサン醤油」醸造所に空の一升瓶を持って買いに行ったことも思いだす。
昭和43年冬この醸造所の道を挟んだ北側、1号線側の空き地に突如出現したのが、「ダイクマ」という安売りデパートだった。そのインパクトは絶大。毎日大型の新聞折り込みチラシが入った。軽い躁状態になった母親は開店から三日連続で通いつめた。それまで茅ヶ崎の住人がまともな衣料を買おうとすると「梅屋」「長崎屋」「志澤」がある平塚まで出かけるしかなかった。高校の友人がダイクマがあるから茅ヶ崎にはよく行くよ、というほど茅ヶ崎の名物としてインバウンドの魅力を広く発信していた。中学校時代のある日小さなレコード・コーナーにジュークボックス流れのジャケットがないドーナツ盤が95円で並んでいて飛びついた。
近年そのダイクマのビルが建て替えられ「ヤマダ電機LABI LIFE SELECT」となり「ダイクマ」の名称が完全に消えた。秦野の呉服店から始まりこの茅ヶ崎で市民の生活を半世紀にわたり担った安売り王の退場は心に迫る。「ダイクマ」の名は多くの茅ヶ崎市民の心の中に深く刻まれている。北茅ヶ崎にできた素晴らしいラーメン店「ダイクマ」は嬉しいの一言だ。
Once upon a time “1968年の洋楽ヒット”BGM
神奈川県茅ヶ崎市のミュージック・ライブラリー & カフェ”BRANDIN”から、地元ミュージシャンたちによる演奏をオーガニックな映像でお送りする
Greetings From BRANDIN
Greetings From BRANDIN, Chigasaki
宮治淳一 Jyunichi Miyaji
1955年茅ヶ崎市生まれ。ラジオDJ、音楽プロデューサー。現在ワーナーミュージック・ジャパンで洋楽編成を担当。「ミュージック・ライブラリー&カフェ ブランディン」を経営する傍ら、ラジオ日本「宮治淳一のラジオ名盤アワー」( 毎週日曜 17:55〜 18:55)、湘南マジックウェイブ「宮治淳一のアワ・ヒット・パレード」(土曜 13:00〜14:00)のラジオDJを担当。サザンの名付け親。「ミュージックシティ・茅ヶ崎」を構想中…。
『茅ヶ崎物語〜MY LITTLE HOMETOWN〜』
(ライブ・ビューイング・ジャパン)書籍
『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』(ポプラ社)
DVD
『茅ヶ崎物語〜MY LITTLE HOMETOWN〜』
(ライブ・ビューイング・ジャパン)
BRANDIN(ブランディン)
宮治夫妻が1999年にオープンしたミュージック・ライブラリー&カフェ。コーヒーを楽しみながら60〜70年代のポップ・ロックを中心としたアナログLP約1万枚を自由に聴くことができるほか、いまとなっては希少なジュークボックスでの音楽再生も可能。
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富士見町1-2
☎️0467-85-3818
水、木休 13:00〜18:00 (不定休あり)
http://brandin.cafe/