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赤羽根山から藍を叫ぶ
ちがさき藍プロジェクト
せっかく農家になったんだもの、憧れの藍と丁寧につきあってみよう。タネから茶葉、染めまで、自分の手を通してじっくり味わう企みです。
第三話
アイある暮らしよ もう一度
藍染めというものを、味噌やヨーグルトやどぶろくを作るみたいに、作ろうと思えば自分でもできる「行い」にしたい。正確に言えばかつてそういう日常がこの国にはあったことを思い出してほしい。だってどんなモノにも専門職が作るブランド物がある一方、名もない手作りの、プロ顔負けの、あるいは素朴でそっけなくても実に美味しい、ステキなものがいくらだってあるじゃないか。
で、そーっと周りを見渡してみると、意外にも「藍ある暮らし」をしてる人、いるのね。もちろん藍の葉っぱは必要だけど、叩き染めはトンカチがあれば、生葉染めはミキサーがあれば簡単にできるしね。沈殿藍も臭いとの激闘に耐え、ご近所からの苦情をかわせばできないことも、ない。
さて、そこで。藍染め工房にある藍甕(かめ)の染め液となると、ん〜、この自作は超〜難易度が高くナリマス。原料となる蒅(すくも)は藍の乾燥葉を水で揉みこんで発酵させること百日、という試練を経なければ手にできない訳で。
そこでついに、わが藍プロジェクトも第8回目にしてその工程にたどり着きましたー。旧式脱穀機を使って葉と茎に分け、みんなでひたすら葉っぱをモミモミして仕込み完了! 現在はだんだんとアンモニア発酵が進んで、かぶせてるゴザを開けると目がシバシバするようになってきた。
最近、吉野は藍にうつつを抜かして野菜は大丈夫かとの噂が立っているとかいないとか。フフフ、もうじきジャガイモでノックアウトさせちゃる。
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吉野正人 Yoshino Masato
茅ケ崎どっこいファーム主宰。教員生活を経て2018年より就農。赤羽根の自然の循環の中でオーガニック野菜を手がける一方、「おいしいと楽しいをつなげたい」をモットーに「農あるくらし」について様々なライフスタイルを提言。