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ミタイ、シリタイ、チイキノオシゴト 押しかけ!会社訪問
Company file 01
ショコー産業株式会社
テニスにフィットネス、スイミング、サッカーから、ゴルフまで。誰もが親しみやすいスポーツクラブ・スクールを運営し地域の人たちの健康をサポートするショコー産業。
1971年、茅ヶ崎市香川に誕生後、市内外に事業所を展開。今年4月には12ヶ所目となる「ロコ辻堂テニス&スイミングスクール」をオープンしました。2018年からは関連会社・熊澤酒造とともに、企業主導型保育園「茅ヶ崎もあな保育園」を開設するなど、地域とともに歩み続けています。
昨年は50周年を迎えたショコー産業。約300名のスタッフが集うパーティを“会社のおごり”で盛大に開催したと聞き、Cheeegaは押しかけ取材を決行。社員4名の座談会で見えてきたものとは?
2世代、3世代会員は当たり前。
50年愛され続けるスポーツクラブの根底にあるものってナニ?
会社の50周年パーティといえばフォーマルなイベントを想像しますが、ショコー産業さんはどうやら違うようですね?
川:全然違います(笑)。普通に飲んで食べて楽しく話して記念写真を撮って。僕は40周年のときも出席しましたが、以前は家族も一緒に参加していました。
星:社長や取締役は、「みんなが食べて飲んでいるのを見たいんだ」って。私はコロナ禍で入社したので恒例の新年会も参加できていなかったのですが、「星さんだよね?」って声をかけてもらえたり、とてもいい機会でした。
長:僕は普段はサッカーのスタッフとしか関わりがないのですが、規模が大きいんだなって実感しましたね。
牟:コロナ禍なので約300名を3回に分けて開催しましたが、社員以外のアルバイトやお掃除の方も顔を合わせてコミュニケーションが取れました。
「人のつながり」はショコー産業の大事なキーワードなんですね。
牟:はい、基本的にマニュアルもありません。スタッフはお客さんにあったレッスンや対応を自分で考えて行動しています。
星:水泳のレッスンも、一度流れだけ見せてもらってあとは自分の言葉で伝えます。最初は不安でしたが、やりたいことは全部やらせてもらえて、ダメなときは言ってくれますし、自分で考えてやったことは褒めてもらえる。今はもう、他の人がやらないことをやりたくなるくらい楽しめるようになってきました(笑)。
牟:会社側も社員を信じて任せてくれている。こちらもしっかり考えて対応しようと思えますよね。失敗ももちろんありますが、上司がフォローしてくれますので。
川:テニスもカリキュラムは一切なく、現場のみんなで考えます。「健康、楽しさ、技術向上」の3つを大切にしていますが、技術は最優先ではありません。健康はもちろん、楽しくなければ続きませんし、楽しさはそれぞれに基準があるので、お客さんを第一に考える。今は3世代で通ってくれている家族もいます。60歳で入ってくる人もいますし、最高齢は90歳の方もいて、家族みたいですね。3歳から教えている子がコーチになったり、そういうことがたくさん起こっています。
牟:プールも同じで、2世代、3世代のお客さんは多いですし、小さい頃から高校生まで習った子が大学生でアルバイトして、そのまま入社するようなこともあります。
スタッフとお客さんの間に壁が無い印象を受けます。どのようにコミュニケーションをしているのでしょうか?
川:コロナの前はイベントだらけでした。サマーパーティ、クリスマスパーティ、餅つき、バーベキューなど、準備が本当に大変で(笑)。でも、お客さんが幹事をやってくれたりして、僕らも楽しんでいますね。
星:私はそういう雰囲気に惹かれて入社しました。年配のお客さんも多いのですが、私に対して自分の子どもみたいに接してくれて、お土産を買ってきてくれたり、ご飯をつくってきてくれたり。私がいないところでも私のことを思い浮かべてくれるってすごいことですよね。
長:僕もサッカーを教えているだけではなくて、親御さんと話をすることが多かったり、コミュニケーションの面で学べることが多いです。
今後の50年に向けて、それぞれに思い描いている未来を教えてください。
川:まずは、先輩たちがつくってくれた会社を存続していくことですよね。そのためにはお客さんに喜んでもらうこと、それが全てですね。
長:時代とともに変わっていくニーズに敏感になって、変えていくところは変えていくことも大事だと思っています。そのための情報収集はしっかりしていきたいです。
星:お客さんは、「ここに来ると友達に会える」といった感覚で来てくださっているようです。地域密着型でアットホームな今の雰囲気を大事にしつつ、社内の情報共有をしながらより良いクラブを目指していきたいですね。
川:スタッフ同士は仲がいいけれど、時には厳しく。立ち居振る舞いや服装とか、お客さんが不快に思うようなことは、お互いに注意しあっていきたいです。
牟:私は、お客さんに会社として選んでいただけるようになりたい。コーチ個人を気に入って通ってくださるのも良いのですが、コーチが抜けたら辞めてしまうのではなく、「ショコー産業だから間違いないよね」って。
川:スタッフがお客さん一人一人を大事にしていて、お客さんもスタッフ同士の仲が良いのを知っているから、会社を愛してくれるんだと思います。そのためにも、まずは我々スタッフが会社を愛することですね!
取材を終えて
スポーツという仕事柄もあると思いますが、さわやかな座談会でした。仕事のマニュアルがないことには驚きましたが、だからこそスタッフ自ら考え続け、変化していくお客さんのニーズにも寄り添えるということ。この『マニュアルを作らないマニュアル』を築いた創業者の熊澤信行氏が、一昨年後任として現社長・金丸太郎氏を選んだポイントは「辞表を持って仕事の直談判をしにきたことがあった」から。そんなに会社のこと考えてくれてるんだと思って決めたのだそう。ショコー産業が50年愛され続ける理由、少しわかったような……
ショコー産業株式会社
茅ヶ崎市香川の山を切り開き、テニスコート(現在の湘南ローンテニスクラブ)をつくったことが事業の始まり。事業所・種目を多角展開し、「スポーツを通じて輝きのある生活を支えること」をモットーに歩み続けて51年。プロを輩出するなど選手育成実績も多数。
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事業所(10カ所、会場は12カ所) /湘南ローンテニスクラブ(湘南サッカースクール香川)/湘南インドアテニスクラブ/阪急大井テニス&ゴルフスクール/湘南スイミングスクール茅ヶ崎/湘南スイミングスクール湘南台/ロコスポーツ湘南(湘南サッカースクールロコ)/ロコスポーツ杉田/湘南サッカースクール藤沢/ロコスポーツ横須賀/ロコ辻堂テニス&スイミングスクール
writer:池田美砂子
フリーランスライター・エディター。茅ヶ崎市在住、2児の母。
大学卒業後、SE、気象予報士など会社員として働く中でウェブマガジン「greenz.jp」と出会い、副業ライターに。2010年よりフリーランスライターとして、Webや雑誌などメディアを中心に、「ソーシャルデザイン」をテーマにした取材・執筆活動を開始。聞くこと、書くことを通して、自分が心地よいと感じる仕事と暮らしのかたちを模索し、生き方をシフトしている。