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チガサキゴトよ、チーガ

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第12回 茅ヶ崎映画祭 「すばらしき世界」アフタートーク

『すばらしき世界』上映後のトークイベントに、西川監督と同映画祭実行委員長の森浩章さんが登壇。本作のきっかけとなった絶版小説との出会いや、主演の役所広司さんについて語られた監督の言葉を、多くの観客が聞き入った。

2023.10.22@イオンシネマ茅ヶ崎

2007年に、師匠であり先輩である是枝裕和監督が泊まっていた茅ヶ崎館を訪ねた。それまで茅ヶ崎に来たことのなかった西川監督だったが、以降は合宿に参加して一番の部屋で執筆に励んだという。

原作となった小説『身分帳』(1990年刊行)を、刑務所で長く過ごした人が社会へ出てきて普通の暮らしを取り戻していく過程にハラハラし、事件を起こしてしまうのではないかとミステリー以上にドキドキしながら読んだと紹介。自分にとっては近寄り難い、関わりたくないような人の話かもしれないが、そういった人の暮らしに目を向けてこなかったことに気づき、この絶版小説を復刊させたいと思い立ち映画制作に踏み切った、と当時を振り返った。

主演の役所広司さんを日本で一番脚本の読める俳優だと評価した上で、一緒に仕事ができることのうれしさと喜びをスタッフとともに共有したと話す西川監督。映画は字幕さえ付けたらどこまでも渡っていける文化であると説明して、国内だけの興行では立ち行かなくなっている現状には危機感も。

また、少しでも遠くへ作った映画を発信し、自分もまたそんな映画を観たいと語り、技術面も伸びている、面白い作品を元気よく作っているアジアの若い作り手たちと組んで映画を作る基盤を築けたらと望む。映画をやってみたいと志す人たちは日本にもたくさんいるのだが、受け皿となる映画界が古い体質を保ち続けてしまったために、こんなはずではなかったと早々に離脱していくケースの多さに触れて、この流れを止めないと未来はないと関係者らに話していると明かす。

続けて、会場にいた照明技師の宗賢次郎さんに声をかける西川監督。宗さんはすべてのスタッフと監督の間に入って、コミュニケーションを円滑にとりながら現場を活性化させてくれたと観客に紹介した。一人のスタッフの力が、現場の雰囲気をがらりと変えてくれることも多く、そんな人たちに支えられて映画は作られていると語った。


すばらしき世界

実在した男をモデルに「社会」と「人間」の今をえぐる問題作。下町の片隅で暮らす、短気だがまっすぐで優しい男・三上正夫(役所広司)。彼は、人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯だった。そんな三上に若手テレビマン・津乃田(仲野太賀)がすり寄るのだが…。

第56回シカゴ国際映画祭【観客賞】【最優秀演技賞(役所広司)】、第45回トロント国際映画祭正式出品作品、第47回シアトル国際映画祭【観客賞】を受賞するなど、海外からも高い評価を受けている。 

★現在アマゾンプライム・ビデオにて見放題独占配信中

©️佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

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