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料理が苦手でも、少人数でもOK! 「シェアおせち」のススメ

おせち料理、作っていますか?品数が多く手間がかかる上、そんなみなさんにオススメしたいのが「シェアおせち」。楽ができて、楽しくて、多様なコミュニケーションが生まれる取り組みです。

「シェアおせち」は、ご近所さんや友人、ママ友などの知り合いで分担してひとつのおせち料理を作ってしまおうという取り組みです。品数の多いおせち料理を参加者で分担してそれぞれに調理し、年末の決まった日に持ち寄り、その場でシェア。それぞれの重箱に家族の人数分詰めれば、立派なおせち料理の完成!手間のかかる年末の手仕事も、シェアすることで楽しみに変わります。

市川歩(いちかわ・あゆみ)夫・市川靖洋さんとともにデザイン
事務所を経営する傍ら、プロジェクトマネージャーとしてさまざまなまちづくりプロジェクトでも活躍。2023年7月、「つくる」をテーマに、まちに開いたスペース「totsukuru」(幸町)をオープン。

元々私はズボラな性格で、「楽がしたい!」という気持ちからスタートしました。「一人じゃ作れないしアイテム数が増えるならやってみよう」と。実際にやってみると、作るプロセスも想像以上に楽しく、重箱に詰めた時は半端ない達成感が得られました!ぜひみなさんも仲間を集めてやってみてください。

「シェアおせち」を茅ヶ崎でも

「シェアおせち」の始まりは、2013年。横浜市青葉区を拠点に活動するNPO法人「森ノオト」のメンバーのみなさんが、地域のコミュニティづくりのきっかけについて議論した際、おせちを持ち寄ってシェアするアイデアが生まれたそうです。その後毎年開催されるようになった「森ノオセチ」を知り、「感動した」と語るのは、茅ヶ崎市で生まれ育ち、さまざまなまちづくりプロジェクトに携わってきた市川歩さん。「茅ヶ崎でもやりたい!」と知人・友人に声をかけ、2018年11月末、初のミーティングが行われました。

市川さんの知人を中心に、小さなお子さん連れの方やお料理好きの方など6家族が集合。

おせち料理の写真を張り出し、話し合いながら担当メニューを決めていきました。


シェアおせちのステップ

① 仲間を集める

食に関することなので、「はじめまして」の仲間よりも、知人友人から始めるのがオススメ

② シェアする日程・場所を決める

おせち料理は基本的に日持ちしますが、年末であればあるほどベター

③ 担当メニューを決める

メニューはアレンジ自由!それぞれの家庭の事情に応じて、担当メニューの数や難易度に偏りがあってもOK。

④ 各家庭で調理する

レシピ本のほか、ネット上の簡単レシピも参考に。日持ちを考え、濃い目の味付けが安心。

⑤ 持ち寄ってシェアする

重箱に詰めれば豪華おせちの完成!南天や松葉、お正月らしい小物など、お飾りを用意するとより華やかに。

⑥ 精算する

レシートを持ち寄って、人数で割り勘。右ページ写真の仕上がりで1人あたり2,000円ほどだったそう(2018年)。


まったく未知からのスタート

「当時はおせち料理なんて作ったこともなかった」と振り返る市川さん。集まった6家族のみなさんとともにおせち料理について調べ、話し合って担当メニューを決めました。市川さんが担当することになったのは、家族の大好物である「黒豆」と「いくらの醤油漬け」、お母様の得意メニュー「伊達巻」の3品。持ち寄りの日は12月29日に決まりました。

持ち寄り前日の思わぬトラブル

ところが持ち寄りの前日。いざ買い物に出ようとしたところ、「いくら」がどこにも見つからなかったそう。焦った市川さん、お母様に相談したところ、幸運にも予約販売の情報を得てプリプリのいくらを入手し、ホッと胸を撫で下ろしたと言います。当時を振り返り、「素材は早めの入手が必須です(苦笑)」と教訓を語ってくれました。

4人分も20人分もつくる手間は変わらない

担当は合計20人前でしたが、実際の手間は家族4人分と、さほど変わらなかったと言う市川さん。いくらは2腹分をほぐし、醤油につけてできあがり。黒豆は時短レシピを参考に、戻した水でそのまま煮ました。伊達巻はお母様から習い、午前中のうちに調理が完了。実家の食器棚に眠っていた3段の重箱などを用意して翌日に備えました。

シェアする喜びと達成感と

いよいよやってきた12月29日。作った料理を持参し、市川さんのオフィスに集合しました。出揃った色とりどりの料理を、家族の人数分重箱に詰めていきます。「似た色のものは近くに入れない方がいいかな」、「柚子を器にして黒豆やナマスを入れよう」など、おしゃべりしながらの作業は本当に楽しかったそう。「お品書き」も添え、シェアおせちの完成!「料理の苦手な私にもできて感動しました。本当に本当にやってよかった!」と語る市川さんの言葉には、大きな達成感とシェアする喜びを感じます。

持ち寄った料理を前に、「どれも美味しそう!」と歓声が上がりました

重箱もそれぞれ。「家でお皿に盛り付けるから」とタッパーを持参した方も。

型通りじゃなくてもOK! それぞれのおせち料理を

この年末、市川さんが撒いた種が小さく芽吹き、茅ヶ崎の各所で「シェアおせち」が実施される予感。市川さんは「やり方に決まりはない」と主張します。「おせち料理の型通りじゃなくても、品数が少なくても、洋風のものが入っても、それぞれのやり方でいいと思います。自由にアレンジしてぜひやってみてください」。

参加メンバーとのコミュニケーションを楽しむ

そして市川さんが何よりも伝えたいのは、シェアおせちのプロセスで生まれるコミュニケーションを楽しんでほしいということ。「作った量や見栄えの良さももちろん喜びですが、一番の楽しみはコミュニケーションです。参加メンバーとは好みやアレルギー、習慣などそれぞれの生活に踏み込んだ話になりますし、調理の際は母や祖母など家族との会話も増えます。シェアした後、余ったおせちを試食しながら、お互いの工夫や苦労を共有したり、一年を振り返ったりするのもとても豊かな時間。そのコミュニケーションこそが、シェアおせちの最大の喜びですし、価値だと思います」。伝統やしきたりにとらわれず、まずは始めてみて、そのプロセスで生まれるコミュニケーションをとことん楽しむ。茅ヶ崎らしく自由で手軽な「シェアおせち」の輪がまちじゅうに広がるのも、時間の問題かもしれません。


成功の秘訣

・少人数でもOK。まずはやってみる。

・メニューもレシピも、伝統やしきたりにとらわれ過ぎない。

・作るプロセスで生まれるコミュニケーションをとことん楽しもう。


写真:市川靖洋 ライター:池田美砂子

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