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海辺の朝市 14のつくり手と 春野菜 / PT.1
海辺の朝市に並んでいる農作物は
どんなとこからやってくるのだろう。メンバーの14の仕事場を
訪ねてみました。
伊右衛門農園 / 香川
年間を通してその時期イチオシの
「旬の野菜」を提供する
「朝市に来るお客さんには、四季折々の野菜を存分に楽しんでもらいたいんです」
と語るのは、冒頭でもご登場いただいた「海辺の朝市」生みの親、伊右衛門農園代表の清高さん。
伊右衛門農園では、どの季節に何を作るか年間の流れをあらかじめ組み立て、その時期もっとも美味しく食べられる野菜を提供する。多様な「季節の品種」と出会えるのが、伊右衛門農園の何よりの魅力だ。
「たとえばダイコンひとつとっても10種類は作ります。春には春向けのダイコン、冬には冬向けのダイコンと、その年のその季節に合ったものを作るんです。ざっと見積もって、全部で60種類300品種くらいはありますね」
なぜそんなにたくさん作るのか。理由は「その時期の最適なものを味わってほしいから」。たとえばダイコンなら、おでんや煮込みなど用途の多い冬は多少大きくなっても食味のよい品種を、春は1回で使い切れるあまり大きくならない品種を選ぶ。秋は地温が高いと辛味が出やすくなるため、適度な辛味を保つよう地温を下げて栽培する。ここまで品種選びや栽培にこだわるのは、持ち前の好奇心プラス「お客さんの好みに合わせた」結果なのだという。
多様な栽培方法ができたのも、お客さんからの要望あればこそ。伊右衛門農園のうまい野菜は、お客さんとともに作り上げてきたものなのだ。
歴史ある農家の息子に生まれながら、
農家を継ぐ気は10パーセント
伊右衛門農園の歴史は江戸時代以前にる。三橋家そのものは450年以上前からこの地に居を構える、香川一帯を収める大地主だったという。ちなみに、江戸時代の三橋家の古民家は民族資料館に移築され、市の重要文化財に指定されている。この建物を建てたのが、「伊右衛門農園」の名の由来である三橋伊右衛門。清高さんはこの由緒ある伊右衛門農園の跡取りというわけだ。
しかし、十代の頃の清高さんは農業にまるで関心がなかった。農業学校で基礎は学んだものの、家業を継ぐ気はあまりなかった。ところが、母親の手伝いでたまたま経験した「直売」が、清高さんの興味に火をつけた。
「僕、やりたくないことは全然やらないけど、好きなものはとことんやるタチなんですよ(笑)。直売でお客さんと話したことがきっかけになって、どうすれば求められる野菜が作れるのか、専門書を読み漁って実際に試して、本気で農業に向き合い始めました」
興味関心だけで成功するほど農業は甘くない。肥料の配合ひとつで作物の出来は大きく変わる。大雨や日照りなど気象の影響も当然大きい。厳しい条件下でさまざまな野菜を栽培するのは想像を絶する困難も多いはずだ。
「いやいや、だからこそさまざまな野菜を作るのが大事なんです。いろんな野菜を作っておけばリスクが分散するでしょ。そもそも単一の野菜だけだったら、僕は飽きちゃう(笑)。やり方によって無限に栽培方法や作型を生み出せる。それが農業の面白いところですよ」
伊右衛門農園の野菜は大勢のファンがつくほどの格別品だが、自分的には満足でいないことのほうが多く、基本、失敗と反省の繰り返しだと三橋さんは笑う。
「でも、それでも農業は楽しいです。天職、ですね」
飽くなき探究心と好奇心。これがほかでは味わえない、伊右衛門農園の野菜の滋味を育んでいるのだ。
出口農園 / 今宿
直売所:直売所:今宿558
時間: 10:00くらいから
休み:日曜と雨の日
出口信善さん/ 今日は見えないけど、富士山を眺めながら仕事しています。品種については、食べてみて美味しいものをメインにするなど、味にこだわりぬいて選んでいます。有機肥料をなるべく使い、薬品を少なく。とにかく美味しいものを作りたい。新種がうまくできたときはうれしいですね。
おイシイ農園 / 萩園
直売所:萩園1660
石井政輝さん/ミニトマトは小学校でも育てやすい野菜ですが、プロとして差を出すためにとにかく「味」「見た目」「食感」を大事にしています。育てるのは大変ですが、それだけかわいく思います。朝市ではぜひ試食してください。感想をもらえるとうれしいです。
清水農園 / 西久保
直売所:西久保672
清水進さん/減農薬で栽培しています。新鮮で味はもちろん、できるだけ形もキレイなものを出荷するようにしています。朝市のお客さんに美味しいと言われるのがとてもうれしいです。
ひらまき園 / 柳島
直売所:柳島2-7-18(ぶどう販売の8〜9月のみ)
平牧強/出来る限りいちばん美味しい収穫タイミングのものをオススメしてます。その時々に変化する農作物を楽しんで味わってもらえたら。ひらまき園としても個人としても、より良い朝市をお客様と作っていけたら最高です!
高橋農園 / 円蔵
直売所:円蔵2596 / 9:00~15:00
高橋芳嗣さん/ 葉物を中心に旬の野菜を皆さんに喜んで食べていただくため、土・肥料・品種にこだわり生産しています。自分の作った野菜で食卓が笑顔になったらいいなぁ。
佐藤ファーム / 寺尾
佐藤誠さん/低農薬で有機質肥料を主体に路地栽培しています。朝市でお客様とご挨拶できるのが、私にとってとても楽しみでうれしいことです。
島次郎農園 / 芹沢
豊島亮太さん/栽培期間中無農薬・無化学肥料で栽培しています。落ち葉などを使った踏込温床をつくる。秀品がたくさん採れた時はうれしく、秀品率をあげていきたい。
『海辺の朝市』は現在(2020年3月31日)休止中です。
下記リンク先で開催情報をご確認のうえ、お出かけください。
【茅ヶ崎海辺の朝市のfacebook】@Chigasaki.Umibeno.Asaichi
writer:小嶋