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チガサキゴトよ、チーガ

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チガサキのたくらみごと

“きれいごと”で
茅ヶ崎はもっと面白くなる!?

vol.04 EdiblePark 茅ヶ崎(エディブルパーク チガサキ)

チガサキのたくらみごと

エディブル、それは小さな安心を
手に入れること。非常時の今こそ、
茅ヶ崎を「食べられるまち」に!

茅ヶ崎のまちでふつふつと沸き起こっているたくらみごとを紹介するこのコーナー。「地球のため」「次世代のため」といった“きれいごと”を堂々と口にし、行動している方々はどんな未来を見据えているのでしょうか。

今回”きれいごと委員長“かわていさん直々のラブコールによりゲストにお招きしたのは、食と農のコミュニティ「EdiblePark茅ヶ崎(以下、EdiblePark)」を運営する石井光さん。Edible、つまり「食べられる」。土地を開墾し、野菜を育て、ニワトリを飼い、食の一部をコミュニティで自給する活動が目指すものとは? 

春風を感じながら広々としたフィールドで交わした言葉の数々を、現場の空気そのままにお届けします。

チガサキのたくらみごと
左:かわていさん、右:石井光さん

野菜づくりもニワトリの世話も、なんでも自分でやってみる。

か:いや〜、気持ちのいい場所ですね。風が吹き抜けて、視界も広くて。

石:最初は井戸しかないただの草っ原だったんです。でも「そこからやりたい」っていうなんとも変態的な(笑)方々が集まってくれたんですよね。

か:なかなかワイルドですね。メンバーは何人くらいで、普段はどんなことをやっているんですか?

石:今は16人です。基本は土曜日が活動日で、畑を耕したりニワトリの世話をしたりDIYでブドウ棚をつくったり、農的なこと全般ですね。一人ひとりの区画が無いので、一緒に作業して収穫物もみんなでシェアしています。

チガサキのたくらみごと

か:やることは石井くんが企画しているんですか?

石:いえ、誰かの発案で始まった作業をみんなでやる感じです。メンバーさんが「味噌づくりしようよ」とか、自由に発案してくださるので。最初は「僕がやらなきゃ」ってがんばってたんですが、僕が余白だらけだからかみんな能動的なマインドで提案してくださるようになって。

か:余白だらけなんだ(笑)。

石:実は僕、はじめは野菜づくりではあまりテンション上がらなかったんです。生き物の居場所が増えることのほうがうれしくて(笑)。

か:生態学が専門でしたっけ? ファーマーじゃなくてエコロジーやネイチャー系だもんね。

石:そうなんです。でもそれで良かったのかな、って。EdibleParkでやっているのは、昔のお百姓さんがやっていたようなこと。家庭菜園や家畜のお世話、かまどでご飯を炊いたり、DIY的なこともします。みんなどこかに心惹かれるんじゃないかな。実際、メンバーさんの中にはニワトリが好きな人がいれば耕すのが好きな人もいて、種の管理が好きという人もいるんです。

か:農的って、つまりは生きるためのことを人任せにしないってことですよね。今まで対価を払って調達してきたことを、工夫して自分でやってみる。ちょっと壊れたところは自分で補修して、でも大掛かりなところはプロの大工さんにお金を払ってやってもらうって感じかな。

石:すべてお金で解決してしまっている世の中なので、少しずつ自分ができることを増やしていけるといいですよね。暮らしが変わっていけばまちの景色も変わってくると思います。

「非常事態でも、家庭菜園がある」という小さな安心を手に入れる。

チガサキのたくらみごと

か:EdibleParkには、いろいろなことをやりたい人が集まっているから、それぞれの役割分担ができそうですね。チームになれば、できることが増えますよね。

石:しかも知識がじわじわ共有されるんです。僕は種に興味がなかったけど種が好きな人がいて、ちょっとずつ情報が入ってきて、今は「自分でもできるじゃん」って思えていたりするので。昔はそれを家族とか村単位でやってきたんでしょうけど、その文脈が途切れちゃった今、代わりのものが必要になっていると思う。

か:たしかに。近代化されて人任せになっちゃったから、そういう能力は低下しているでしょうね。僕が今回エディブルの話をしたいと思ったのは、まさに今、非常事態だから。こういうときに何が必要かって言ったら、当たり前だけど食べないと生きていけない。僕は今まで土曜日の「海辺の朝市」に一週間分の食材を頼っていたんです。でも手に入らなくなっちゃって、店に買いに行っても棚に無い。人に頼る生活だったんだな、って気づきました。100%自給するのは無理だけど、何かしら自分で調達できるようにならないと生活できないじゃん、って。もう少し人間としての危機意識や次世代への責任を敏感に感じられるような感性を持って生きていたい。SDGsはまさに、「次世代への責任があるから行動しましょう」って言っているんですよね。

石:今の非常事態は、私たち人間が農的な暮らしや、その先にある“地球に暮らす”という感覚に自然にシフトしていく良い機会になると思います。野菜を自分で育てて食べるような、小さな循環を暮らしの中にどう取り戻すか。できることが増えると、暮らしの安心感が違うと思うんですよ。非常事態で不安でも、家庭菜園がちょっとあるとか井戸があるとか。大きなもの任せじゃなくて、自分の身を守れるものがあると、寛容にもなれる。「お金がないと手に入らない」って不安があると、買い占めに走ったり、世知辛い世の中になっちゃうんだと思います。

か:そうだよなぁ。本当は自然の恵みからいただくって当たり前のことなんだけど、都市生活では対価でしか発想できなくなっちゃってる。小さなことでも自分でやってみると、いろいろ見えてくるんでしょうね。

地元の農家さんから買うことも、エディブル活動。

か:今後、メンバーは増やしていきたいですか?

石:増やしたいとは思っています。面積が800坪もあって手を入れられていないところもあるので、マンパワーは欲しいです。でもその半面、今は顔の見える関係性がしっかりしていていいな、とも思うんです。みんながあるメンバーさんの息子さんの受験のことを気にかけていたりして。

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か:いいですね、まさに地域コミュニティ。

石:30人くらいまでなら大丈夫だと思いますが、増えすぎると薄まっちゃいそうですし、僕はスピード感とか効率性生産性を求めていないんですよね。コミュニティとしての成長も植物が育つような速度がいい。力づくでやろうとすると誰かを取りこぼしちゃいそうですし、長く続けることを考えると「みんなで遠くに行く」ほうがいいな、って。エディブルの価値は人なので。

か:農的な暮らしって、一人ひとりの居場所ができるのかもしれないですね。石井くんは、メンバーさんが「自分はここに居てもいいんだ、居たい」って思える場所を提供している。人を中心にしたコミュニティ発想で、たまたま味噌ができたとか、その「できたレベル」をひとつのゴールにして考えてる。多分それは積み上がってると思います。

石:ゆっくりですけど、土は良くなってきているんですよ。雑草の種類も変わってきているし、ミミズも増えていて。1年目の収穫祭で自給できたのは卵だけでしたが、去年は里芋がたくさん採れて芋煮会ができました。個人レベルでは、自宅でニワトリを飼い始めたメンバーさんもいました。

か:いいね。ゆっくりでいいし、全部じゃなくていい。自分たちでつくったものを食べるだけじゃなくて、地元の農家さんから買うこともエディブルだと思うんです。そうやって自分の懐から出るお金の塩梅を一人ひとりが考えていくことが、これからのエディブルライフ。本業、副業、趣味、いろいろなレイヤーがあるけど、100%貨幣経済じゃない、いい塩梅の経済をつくっていく。

石:そうなると、まちの価値も上がっていくと思います。小さな安心感の連帯があるまちは、魅力的ですよね。

か:たしかにそうですね。そもそも茅ヶ崎はそういう思考を持ちやすいまちだと思う。里山や海といった資源も、映画『エディブル・シティ』(欄外)バークレーと同じようにエディブルの考え方がマッチすると思っていて。社会が危機的状況になっても「茅ヶ崎は元気!」という状態をつくっていけるんじゃないかな。つくっていきましょう!


チガサキのたくらみごと

EdiblePark茅ヶ崎

“食と農の学びと遊びのテーマパーク”をコンセプトに、2017年10月、赤羽根にオープンしたコミュニティ農園。約800坪のフィールドで、メンバー(有料会員)による毎週土曜日の共同作業のほか、誰でも参加できる「畑で卵かけごはんを食べる会」(2020年5月現在、休止中)など、各種講座やイベントを実施。一人ひとりが食の一部を経済活動から切り離し、コミュニティで食べものを自給することで、非常時でも安心安全なまちづくりを目指している。https://ediblepark.com/


かわていさんのオススメ情報


映画『エディブル・シティ』
6/21までYouTubeにて無料公開中

サンフランシスコ、バークレー、オークランドの3都市を舞台に、「空き地で食べ物をつくれるんじゃない?」という発想でコンクリートをガーデンに変えて行く市民のエディブル活動を描くドキュメンタリー映画。なかでもバークレーは、オーガニックや食育の先進都市として知られている。実はかわていさん、本作にも登場するEdible School Yard (学校菜園教育)を日本で広めるEdible School Yard Japanから2016年に活動の相談を受け、、コワーキングスペース「チガラボ」に上映会を提案。バークレーから招いたゲストとの対話も盛り上がり、それを機に EdiblePark の構想が立ち上がったそう。http://edible-media.com/

“きれいごと”とは
みんなが本当はこうした方が良いと思っている「きれいごと」。そのままに行動するとこれまでは揶揄されましたが、これからは未来世代のための行動を褒め称える社会をつくっていきましょう! 

かわていさん

きれいごと委員長
かわていさん

川廷昌弘(かわてい・まさひろ)。「きれいごとで勝負!」をキーワードに世界を股にかけて活動する茅ヶ崎人。博報堂DYホールディングス グループ広報・IR室CSRグループ推進担当部長、環境省SDGsステークホルダーズ・ミーティング構成員、神奈川県非常勤顧問。2019年12月より「茅ヶ崎市SDGs推進アドバイザー」に就任し、茅ヶ崎らしいSDGs推進をたくらみ中。

かわていさん

SDGsは、2030年までに持続可能な社会を実現するために世界が合意した国際的な目標。2015年9月の国連総会で採択された。「貧困の撲滅」から「パートナーシップ」まで、社会、環境、経済の3つの側面が含まれた17の目標で構成されている。SDGs自体を目的化せず、コミュニケーションツールとして使いこなすことがポイント。


writer:池田美砂子
フリーランスライター・エディター。茅ヶ崎市在住、2児の母。
大学卒業後、SE、気象予報士など会社員として働く中でウェブマガジン「greenz.jp」と出会い、副業ライターに。2010年よりフリーランスライターとして、Webや雑誌などメディアを中心に、「ソーシャルデザイン」をテーマにした取材・執筆活動を開始。聞くこと、書くことを通して、自分が心地よいと感じる仕事と暮らしのかたちを模索し、生き方をシフトしている。

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