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海街の本棚
開高 健
「開口閉口」
新潮文庫 一九七九年

茅ヶ崎ゆかりの文士、開高健さんの六四に及ぶエッセイ『開口閉口』。
自分は一九七六年に発刊された単行本、全二巻のうち一巻目を読みました。現在単行本は絶版ですので、書影は販売されている文庫版を入れています。
ヴェトナム戦争の話では、特派員として前線のヴェトナム兵士たちと同じように現地で生活をし、とてつもないヤツを口に入れる話。
また別の話では「女房が怖くない奴は前へ出ろ!」と隊長が命令したら、百人のうちたった一人が前にでたそうで、その言い訳が、「かねがねみんなの後について行ってはいけないと女房に言われつけているもんですから」というオチ。
こういう話は、社会主義の国でも資本主義の国でも同じだね、と開高さんも笑います。
好きな釣りの話では、アマゾンでの怪魚や日本の渓流釣りがでてきます。開高さん自身は、キャッチアンドリリース派だそうなのですが、擬似餌(ルアー)と釣られる魚には相性があるという、組み合わせのうんちく話は秀逸です。
また世界各地で作られるお酒については、殆どに毒蛇が浸かっているがなぜ青大将ではいけないのかなど、首を捻る場面も。
茅ヶ崎には、開高健記念館があります。執筆していた机や、色とりどりのルアーや、ヴェトナム戦地での写真や貴重な原稿などが展示されています。 ご関心のある方は、開館日時を確認の上、訪れてみてはいかがでしょうか。