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川廷昌弘さんと語り合う チガサキのたくらみごと

“きれいごと”で茅ヶ崎はもっと面白くなる!?
かわていさんと語り合うチガサキのたくらみごと

vol.15 かながわ海岸美化財団
松浦治美さん

ビーチクリーンだけじゃない、
美しい海岸を守るため私たちにできること

 2022年4月1日、茅ヶ崎市には「ごみ」にまつわる大きなニュースが2つあることを知っていますか?

 ひとつは、ごみの有料化。ごみを出す際、「燃やせるごみ」と「燃やせないごみ」を対象に、指定ごみ袋の購入が必要となります。

 もうひとつは、「ボランティア清掃ごみ回収ボックス」の撤去。ビーチクリーンをした人・団体が手軽に捨てられるよう、サイクリングロード沿いに設置してあったごみ箱が姿を消します。

この2つのニュースの根底には、茅ヶ崎の「ごみ」にまつわる残念な現実があることを知り、ショックを受けた”きれいごと委員長“かわていさん。

モヤモヤした気持ちを抱えて、汐見台にある「かながわ海岸美化財団(以下、美化財団)」の本部を訪ねました。

かながわ海岸美化財団 松浦治美(はるみ)さん
公益財団法人「かながわ海岸美化財団」代表理事 。神奈川県職員を経て、2018年より現職。藤沢生まれ・藤沢育ちで、子供の頃に海がどんどん汚くなっていく光景を目の当たりにしたことが、現在の活動の原点。

”漏れ系” で増え続ける
海のプラスチックごみ

か:いつもサーフィンに行くと、やはりごみが気になります。放置されたもの、漂着したもの、いろいろ混じっていますよね。最近は暖かくなってきて放置ごみ(海岸で捨てられたもの)も増えてきたように感じます。

松:海水浴や花火に来た人が捨てるというイメージが強いと思いますが、実は神奈川の海岸では放置ごみは全体の約3割。残りの7割は川から海に流れてきて、波で海岸に打ち上げられたもの(漂着ごみ)なんです。

か:なぜそんなにたくさんのごみが川に流れるのでしょう?

松:タバコの吸い殻など純粋なポイ捨てもありますが、それ以外にも、たとえば自動販売機の横のごみ箱がいっぱいになっているとき、上や横に置いていく方がいますよね。それが風で飛ばされて川に流れてしまうこともあります。家庭ごみの集積場所でもごみをカラスがつついて飛ばされてしまいますし、ベランダの洗濯バサミや道路脇のコーン、人工芝もプラスチックが風化すると飛んで行ってしまいます。私はこれらを”漏れ系“と呼んでいるのですが。

か:なるほど、“漏れ系”ですか!

松:自分はちゃんと捨てたつもりでも、しっかり管理をしないとポイ捨てと同じ結果になってしまうんです。川から流れて来る物は、海に出てしまうともう拾えないので、海岸は”最後の砦“と考えています。

か:やはりプラスチックごみが多いですか?

松:人工ごみ(金属やガラス、プラスチック等)のうち、重量ベースで約6割がプラスチックです。この割合は増え続けていて、2050年には魚より海中のプラスチックが多くなるというデータもあります。

か:国連が発表していましたね。中でも軽くて便利なペットボトルが圧倒的に増えているんでしょうね。

松:ペットボトルは浮くと思われていますが、中に空気が入っていなければ海底に沈みます。私たちは海岸清掃に特化した団体なので海の中まではわからないのですが、それも考えるとかなりの本数になると思います。

か:今把握している以上のプラごみが海にあるということですよね。神奈川県は他県に先駆けて「かながわプラごみゼロ宣言」をしています。ぜひ有言実行といきたいところです。

※「かながわプラごみゼロ宣言」 神奈川県は、鎌倉市由比ヶ浜に打ち上がったクジラの赤ちゃんの胃袋からプラスチックごみが発見されたことをメッセージとして受け止め、2030年までのできるだけ早期に、リサイクルされない、廃棄されるプラごみゼロを目指すことを宣言しています。

茅ヶ崎の人にとって
海は「自分の庭」のような場所

松:神奈川県はビーチクリーンのボランティアがすごく多

くて、美化財団ができた当初(1991年)は年間で延べ5万7千人だったのですが、コロナ前の2019年度には16万人を超えるほどまで増えました。他県では統計がないので「日本一」と言えないのが残念です。

か:Cheeegaでは「日本一」と言ってしまいましょう!  

松:近年は特に、団体から個人への流れが加速していて、150キロの海岸のあちこちで日々海岸のごみを拾ってくれています。これはある意味、ビーチクリーンボランティアの理想形と言えるかもしれません。

か:それもこれも、美化財団がビーチクリーンしやすい環境を整えてくれているからですよね。電話一本でごみ袋と軍手を送ってくれる上に、回収までしてくれる。ごみ袋を持っていなくても、海岸沿いにボランティア用のごみ箱があってその場で捨てられました。でも残念ながら撤去になってしまいましたね。

松:ビーチクリーンをしてくださるみなさんからは好評だったのですが継続的に調査したところ、家庭ごみの持ち込みやペットの糞、遊びに来た人のペットボトルやバーベキューのごみなど、場所によっては9割が不適正利用だったんです。ごみがごみを呼ぶ状態になってしまっていました。

か:ニュースで家庭ごみの廃棄も多いと聞いて、市民として恥ずかしく思いました。

松:茅ヶ崎の海には全国から人が集まりますが、市民にとってはお散歩やジョギングをする「自分の庭」のような場所ですよね。自分の庭にごみを捨てる人はいないと思うので、そういう感覚を持てるといいですね。

か:そうですね。そしてさらに大事なのは、ごみを大量に出してしまう消費行動そのものを考え直すことだと思います。

松:茅ヶ崎市のごみの有料化は考えるきっかけになりますよね。有料の袋に入れるのなら、ごみを減らそうと思いますし、細かく分別して資源ごみにしようと考えます。

か:確かにそうですね。有料化前の調査では、燃えるごみとして出されたもののうち約25%が資源ごみとして仕分けられる物だったと聞きました。僕も紙くずなど資源にできたものも「まあいいか」と捨ててしまっていたと反省しています…。有料化とごみ箱撤去をごみ削減のいい機会としてポジティブに考えていきたいですね。

「海の豊かさを守るにはSDGsの12番が重要です」とかわてい委員長。

「捨てないことが、いちばんのゴミ拾い」
めざせ“捨てないライフスタイル”

か:ごみ箱が撤去されてしまった後は、ビーチクリーンで拾ったごみは持ち帰ることになりますか?

松:いえ、電話で連絡していただけたら、ごみ袋と一緒に回収場所の地図をお送りするので、可燃と不燃に分けてごみ袋に入れて、ステッカーを貼って置いていただければ回収に行きます。ごみ袋は指定のものじゃなくても大丈夫です。

か:それはありがたいです。ただ、僕の中には、ビーチクリーンの次に進みたいという気持ちがあります。暮らしの中でどんなことができるでしょう?

松:それを表しているのが、私たちのキャッチコピー「捨てないことが、いちばんのゴミ拾い」です。捨てる段階での分別ではなく、買う段階からごみにならないものを選んでいただきたいです。

か:”捨てないライフスタイル“を考えることが大事ですね。そのためにはまず、プラごみを減らすこと。プラスチックでも長く使える物を選んだり、レジ袋もできるだけ断ることはできますね。

松:あとは、「ポイ捨てなんてしていない」という方にも先ほどお話しした”漏れ系“を意識していただきたいです。

か:そういう意味では、美化財団の取り組みは、SDGsの14番「海の豊かさを守ろう」とともに、12番「つくる責任・つかう責任」にもつながりますね。結局一番大事なのは、生活者の”つかう責任“だと思うんです。つくる企業ももちろんですが、つかう私たちがお世話になったものの最後まで考えて行動すること。ペットボトルが開発された当初は画期的なものだったんですが、良かれと思ったことが他で悪影響を及ぼすことは良くあります。SDGsで考えるとそのつながりが見えてきますね。

松:ビーチクリーンは出口対策。これからはその入口のところも考えましょう、ということですね。

か:海が遠くてビーチクリーンができない人も、つかう責任に目を向けるとできることはたくさんあります。“捨てないライフスタイル”を意識して、茅ヶ崎の大切な資源であり、市民にとっての庭でもある海岸をみんなできれいに保っていきましょう。




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かわていさん

きれいごと委員長
かわていさん

川廷昌弘(かわてい・まさひろ)。「きれいごとで勝負!」をキーワードに世界を股にかけて活動する茅ヶ崎人。博報堂DYホールディングス   サステナビリティ推進室  SDGs推進担当部長、環境省SDGsステークホルダーズ・ミーティング構成員、神奈川県非常勤顧問。2019年12月より「茅ヶ崎市SDGs推進アドバイザー」に就任し、茅ヶ崎らしいSDGs推進をたくらみ中。

かわていさん

SDGsは、2030年までに持続可能な社会を実現するために世界が合意した国際的な目標。2015年9月の国連総会で採択された。「貧困の撲滅」から「パートナーシップ」まで、社会、環境、経済の3つの側面が含まれた17の目標で構成されている。SDGs自体を目的化せず、コミュニケーションツールとして使いこなすことがポイント。


writer:池田美砂子
フリーランスライター・エディター。茅ヶ崎市在住、2児の母。
大学卒業後、SE、気象予報士など会社員として働く中でウェブマガジン「greenz.jp」と出会い、副業ライターに。2010年よりフリーランスライターとして、Webや雑誌などメディアを中心に、「ソーシャルデザイン」をテーマにした取材・執筆活動を開始。聞くこと、書くことを通して、自分が心地よいと感じる仕事と暮らしのかたちを模索し、生き方をシフトしている。

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