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チガサキゴトよ、チーガ

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宮治淳一のワンス・アポン・ア・タイム・イン・チガサキ

其の十

昭和44年、あこがれの市営球場での新人戦
茅ヶ崎一中のピッチャーは桑田佳祐背番号1

 

 今年はWBCのおかげで球春が早く訪れた。桜が咲く前から選手が野球場で溌剌としたプレーを見せてくれているのには野球ファンである私はすごくうれしい。我が町には素晴らしい茅ヶ崎市営球場、正式名称茅ヶ崎公園野球場がある。ここは終戦後湘南遊歩道(国道134号線)の北側の砂山を崩して作られたそうな。少年時代の加山雄三はその砂山を板で滑り降りて遊んでいたという。

 茅ヶ崎公園には野球場のほかテニスコートがあって当時としては洒落た場所でその周辺には多くの文化人・芸能人が住んでいた。上原謙、加山雄三親子を筆頭に、平尾昌晃、乙羽信子、高見澤 宏(ダークダックス)、岩沢兄弟(ブレッド・アンド・バター)、槇 有恒(登山家)、大島 浩(元ドイツ大使)、広瀬 正(SF作家)などなど。

 昭和24年から約2年間女優中村メイコ一家も住んでいた。場所は上原邸の道を挟んだ対面。戦中戦後点々と住居を変えていた中村家がメイコの母、知會の姉の家作に転がり込んだかっこうだった。戦前2歳半で役者デビューし人気を博した子役メイコも思春期を迎え、働かない父をあてにできずNHKラジオに出演する傍ら出版社の原稿取りのアルバイトで毎日湘南電車に乗って東京に通った。

 子役時代から長きにわたり中村メイコとの交流があったメイコの育ての親ともいうべき弁士、マルチタレント徳川夢声(ムセイ)は茅ヶ崎との縁が深い。日本ビール(現サッポロビール)のノンプロ球団の後援会長だった夢声は春のキャンプ地に茅ヶ崎市営球場を推薦し娘の嫁ぎ先と思われる大市旅館に選手を宿泊させていた。都合のいいことにその旅館は球場の西側に隣接していた。現在マンション建築中のエトワール海渡茅ヶ崎寮の道を隔てた南側にあった。昭和40年代読売巨人軍の主力投手として活躍することになる“エースのジョー”こと城之内邦雄は日本ビール時代にその春キャンプに参加している。

 夢声は「茅ヶ崎音頭」という曲の作詞をしている。作曲は近年NHK朝ドラ『エール』の主人公になった古関裕而。芸者歌手赤坂小梅の歌唱で日本コロムビアから昭和33年頃SP盤として発表されている。どんな曲・歌詞なのか多いに興味がある。

 メイコは19歳の頃多忙を極め発作的に自殺を図ったことがある。東京からタクシーで馴染みの茅ヶ崎海岸に直行、大量の睡眠薬を飲み海に身を投げた。気を失いプカプカ浮いているところたまたま通りかかった徳川夢声の娘に発見され一命を取りとめたというからメイコと夢声の因縁は深い。

 昭和44年8月の最終週、茅ヶ崎一中野球部にいた私は1、2年生による新人戦に出場した。茅ヶ崎市内の7中学校に寒川中学を加えた8校によるトーナメント戦で会場はあこがれの市営球場。その頃無敵を誇り県下にその名を届かせていた松浪中学が決勝に進出してこなかったことが幸いし、なんとスルスルと茅ヶ崎一中が優勝してしまった。そのときのピッチャーは桑田佳祐背番号1。

 その球場で2000年、2013年の二回サザンオールスターズがコンサートを開いてくれた。デビュー45周年にあたる今年その再現を期待せずにはいられない。

Once upon a time in BGM
茅ヶ崎一中の野球部が新人戦で優勝した1969年夏はやっていた素晴らしい楽曲


宮治淳一  Jyunichi Miyaji

1955年茅ヶ崎市生まれ。ラジオDJ、音楽プロデューサー。現在ワーナーミュージック・ジャパンで洋楽編成を担当。「ミュージック・ライブラリー&カフェ ブランディン」を経営する傍ら、ラジオ日本「宮治淳一のラジオ名盤アワー」( 毎週日曜 17:55〜 18:55)、湘南マジックウェイブ「宮治淳一のアワ・ヒット・パレード(土曜 13:00〜14:00)のラジオDJを担当。サザンの名付け親。「ミュージックシティ・茅ヶ崎」を構想中…。

『茅ヶ崎物語〜MY LITTLE HOMETOWN〜』
(ライブ・ビューイング・ジャパン)書籍
『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』(ポプラ社)

DVD
『茅ヶ崎物語〜MY LITTLE HOMETOWN〜』
(ライブ・ビューイング・ジャパン)

BRANDIN(ブランディン)
宮治夫妻が1999年にオープンしたミュージック・ライブラリー&カフェ。コーヒーを楽しみながら60〜70年代のポップ・ロックを中心としたアナログLP約1万枚を自由に聴くことができるほか、いまとなっては希少なジュークボックスでの音楽再生も可能。 

富士見町1-2
☎️0467-85-3818
水、木休  13:00〜18:00 (不定休あり)
http://brandin.cafe/


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