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チガサキゴトよ、チーガ

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駅馬車〈STAGECOACH〉の車窓から 片山誠史

 藤沢本町で4年、辻堂で35年、そして2021年からは茅ヶ崎へ。今年、ライブバー「STAGECOACH」は創業45周年を迎えました。

 45年も続けていれば、いろいろな出来事があります。

 創業者である先代はカントリーベーシスト、現店主はカントリーシンガー。そのため「カントリーのお店」という印象を持たれるのも当然です。店内もそんな雰囲気ですからね。

 けれど実際には、店では毎日のようにさまざまなジャンルのライブが開かれています。それでも、全国的にも少なくなってしまった「カントリーの店」という看板だけは、これからも掲げ続けていきたいと思っています。

 45年の歴史を語るうえで欠かせない存在が、昨年11月、92歳で旅立たれたカントリーシンガー・寺本圭一さんです。

 昭和8年生まれ。戦後日本のカントリーミュージック界だけでなく、日本のポピュラー音楽黎明期から第一線を歩み続けてきた、本物のレジェンドでした。

 多くを語らない方でしたが、その歩んできた人生は実にドラマチックです。祖父は「貯金王」と呼ばれた牧野元次郎氏。六本木で乗馬を楽しみ、日本で最初にエルビス・プレスリーをカバーした一人でもありました。皇太子殿下(現・上皇陛下)の御前で歌い、日劇ウエスタンカーニバルにも最多出演。戦後間もない頃から、自分の好きな音楽を貫き続けた70年以上の音楽人生でした。

 STAGECOACHが創業した頃にはすでに大磯に住まわれ、長年にわたり毎月出演してくださいました。茅ヶ崎へ移転してから一度もライブをご一緒できなかったことだけが、今も心残りです。

 一方、毎月第一水曜日に定期ライブを続けている井上園子さんも、「好きな音楽を探求する」という意味では寺本さんと重なる存在です。

 茅ヶ崎へ移転して間もない頃、スタッフとして加わってくれた彼女は、いつの間にかステージで歌い始め、瞬く間に各方面から声が掛かる存在になりました。STAGECOACHでの定例ライブは、予約開始から数分で満席になるほどです。

 「片山さんが育てたんですか」「何を教えたんですか」と聞かれることがあります。でも、何ひとつ成功していない自分が、人様に教えられることなんてありません。

 ただ、「自分が好きなものを信じて進めばいい」と伝えているだけです。もし失敗しても何とかなるし、何とかならなければ、そのときまた考えればいい。言ってしまえば無責任なのかもしれません。でも、自分では「責任感のある無責任」だと思っています。

 昭和のレジェンド・寺本圭一さんが物語を紡いだSTAGECOACHのステージには、今、井上園子さんをはじめとする新しい世代のミュージシャンたちが、それぞれの物語を刻んでいます。

 45年という歴史の中には、変わらないものがあります。そして同時に、一夜一夜、新しい物語が生まれています。

 駅馬車〈STAGECOACH〉の窓からその景色を眺めるたび、音楽は人と人をつなぎ、世代を超えて受け継がれていくものなのだと感じます。

 これまで支えてくださったお客様、出演者の皆様、地域の皆様、そしてSTAGECOACHに関わってくださったすべての方々への感謝を胸に、これからもこの街で、人と音楽の物語を紡ぎ続けていけたら——それが何よりの幸せです。

2026年9月20日(日)
生誕50年を祝う@原宿クロコダイル
「片山誠史・人間五十年大感謝LIVE」

STAGECOACH 店主 
カントリーシンガー 
片山誠史 

1976年9月20日生 茅ヶ崎市生まれ。ベーシストの父の影響で、カントリーを聴いて育つ。1993年ムッシュかまやつ氏プロデュース、吉田拓郎・玉置浩二・J-WALKらのバックアップを受けBMGビクターよりデビュー。音楽活動、ラジオ番組のパーソナリティとして活躍。 現在は音楽活動の他、ライブハウス「STAGECOACH」の経営、イベント制作活動を行っている。 

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