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茅ヶ崎の北部丘陵 里山環境に住むマニアックな昆虫図鑑 file.10
ナナホシテントウ
DATA 北海道〜南西諸島まで広く分布。体長5〜9mm。成虫、幼虫ともにアブラムシ類を食べる。成虫で越冬する。また真夏にはアブラムシ類が少なくなるため夏眠する。名前の通り、前羽根に7つの斑紋がある。
⌘ 姿に似合わぬ大食漢
ナナホシテントウはアブラムシ類を専門に食べる肉食性。アブラムシが生息するカラスノエンドウ(上のイラスト)が生えている場所でよく見かけます。
アブラムシは春と秋の繁殖期は卵ではなく直接幼虫を次々と産むので、1日に数十匹を捕食する大食漢のナナホシテントウにとって最高の季節です。アブラムシは暑さに弱く夏に繁殖が鈍るのですが、それに伴ってナナホシテントウも短期間休眠(夏眠)します。
⌘ オシャレな模様に秘められた生存戦略
昆虫にとって鳥は天敵。虫たちは保護色に身を包んでひっそりと生活しています。それに反してナナホシテントウは派手ですが食べる鳥はいません。なぜでしょう。
ナナホシテントウは、危険を感じると脚の関節部からアルカロイド系の毒素が含まれた苦くて黄色い汁を出すので「毒がある不味い虫」と鳥に認識されるのです。ちなみにこの特徴を利用してナナホシテントウ に擬態する昆虫もいるんですよ。
⌘ 人間の都合による「益虫・害虫」
農作物や花の品質の悪化や病原ウイルスを蔓延させたりするアブラムシは「害虫」と呼ばれ、そのアブラムシを食べるナナホシテントウは「益虫」と呼ばれています。
一方同じテントウムシでもニジュウヤホシテントウは、草食性でナスやピーマンの葉を食い荒らすため「害虫」扱いとなっています。「益虫・害虫」の区分はあくまで人間の都合なのですね。
⌘ 足に噛みつくアイツはちょっと苦手
ナナホシテントウが捕食するアブラムシはアリと共生関係にあります。アブラムシは甘い蜜を分泌し、アリは蜜をもらう代わりにアブラムシを捕食するナナホシテントウの脚にしつこく噛み付いて追い払います。小さな昆虫の観察や飼育をすると色々と見えてくるものがあるかと思いますよ。