描きおろし&エッセイ 絵本作家　おおいじゅんこ

お菓子好き

〜 おいしそうなページの記憶 〜

　私は子どもの頃からお菓子のレシピ本を飽きずに眺めるのが好きでした。

　なかでも、今田美奈子さんの『お菓子の手作り事典』を何回も熟読。母に「今度はこのお菓子を作って」とリクエストをしたものです。

　イチゴのババロアやアイスボックスクッキー。美味しかったな。クグロフというのはマリーアントワネットが好きだったらしいとか。クリスマスプディングというお菓子は知っているプリンのイメージとは全然違って作るのにとても時間がかかるらしい等。興味深く読んで楽しんでいました。

　見ているだけでは飽き足らずレシピを見ながらお菓子を作ることも。小学生くらいの時は簡単なゼリーや型抜きクッキー。段々と難しいレシピにも挑戦しました。

　基本的に何かを作っていれば楽しいという人生なので、お菓子作りも随分と楽しかったのにそう言えば最近は作ってないな…。

　材料のお砂糖やバターの量にビビるからかな。でもきれいなお菓子を眺めるだけでも！

　デパ地下のお菓子売り場や旅行先の名物のお菓子等は興味があり、ウインドウを見るだけでも楽しいです。

　そして、絵本の中に描かれた美味しそうなお菓子も大好き。「ぐりとぐら」の黄色いカステラ。「ぐるんぱのようちえん」の大きなビスケット。「しろくまちゃんのほっとけーき」のフライパンのページ。

　私の描いた絵本は「食べもの」が多いと言われることがよくあります。「ちびころおにぎり 」「クッキーひめ」「ぺんちゃんのかきごおり」「みどりさんのパンやさん」「たまごケーキやけたかな」「プチトマトのぷーちゃんどーこかな？」

　やっぱり食いしん坊魂が溢れ出てしまっているかな…。

 「たまごケーキやけたかな」は母が作るマドレーヌが焼きあがるのを待っていた子どもの頃の自分を思い出しながら、何でもないような時間の幸せを描いた絵本です。

　読者の方の記憶の隅っこに残るページがひとつでも描けていたら嬉しいと思いながら日々制作をしています。

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